また、ワーケーション施設では、自分と同じように、大都市圏からワーケーションに訪れている他社のビジネスパーソンと出会う機会もあります。ワーケーションというリラックスした環境では、お互いオープンにコミュニケーションがとれるのかもしれません。情報交換をしたご縁がつながり、後に協業につながった例もあるようです。

地方に移住して「2拠点生活」を始める人も増加

地方のワーケーション施設を利用するだけでなく、地方に居宅を構えて「2拠点生活」を始める人も増えています。都心のオフィスへの出社が必要なときは、もともと都内で暮らしていたマンションやビジネスホテルなどに泊まり、テレワークをする日や休日は地方で過ごす、というライフスタイルです。私の周辺でも栃木県の那須、神奈川県の鎌倉や逗子、千葉県の房総などのエリアに住まいを移したケースがあります。

そして私自身も、今年4月から東京と静岡の2拠点生活を送っています。次男が静岡の中学校に進学したため、次男と私で静岡に移住。夫と長男が引き続き暮らす東京のマンション、東京に構えているオフィスと行き来しています。

東京のマンションは湾岸エリアにあり、窓からは河川と東京湾が望めるのですが、静岡のマンションからは緑にあふれる山を眺望でき、駅まで歩く間には富士山も見えて、とても新鮮です。

これまでなかなか子どもと過ごす時間を持てなかったのですが、一緒に料理を作るなど、じっくり子どもに向き合えるようにもなりました。時間の使い方への意識も変わり、人と会う時間はより貴重なものと感じ、大切にするようになりました。

地方では低額の家賃で広い家に住めますので、楽器演奏やエクササイズ・トレーニングなど、ある程度のスペースや設備を必要とする趣味を持つ人は生活が充実するでしょう。ランニングやアウトドアレジャーを楽しむにも格好の環境。自身が移住してみて、2拠点生活の魅力を肌で感じています。

さらには、移住先のコミュニティで、新たな人脈も築かれつつあります。移住1カ月にして、一般社団法人 静岡県ラグビーフットボール協会の理事に就任し、静岡県の「ラグビー聖地化構想」への挑戦を支援してまいります。私は大学時代にラグビー部のマネージャーを務めて以来、ずっとラグビーファンなのですが、思いがけないご縁が結ばれました。

私は、ビジネスパーソンの皆さんからよくこんな質問を受けます。「これからの時代、強いキャリアを築くためには、どんな能力を磨けばいいですか」。この問いに対し、「変化対応力」「多様な人々との共創力」と答えています。

時代の変化のスピードが加速する中、自分を取り巻く状況や環境が突然変化したとしても、柔軟に対応していける人材が強さを発揮します。そして、事業の立ち上げや推進をスピーディーに展開するため、多様なバックグラウンドや価値観を持つ人との「協働」「共創」の機会も増えていきます。

1つの場所にとどまり、常に同じメンバーで同じことを繰り返していたのでは、変化対応力や共創力はなかなか養われません。異なる環境の中で新たな体験をしたり、これまで接点がなかった多種多様な人々と交流し刺激しあったりすることで、これからの時代に求められる変化対応力・共創力も身に付くと思います。そのトレーニングの手段として、ワーケーションや2拠点生活を活用してみるのも有効だと思います。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「マンガでわかる 成功する転職」(池田書店)、「トップコンサルタントが教える 無敵の転職」(新星出版社)ほか、著書多数。

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