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岸惠子、後悔は「戦場にかける橋」 出演を断ったワケ

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

女優デビューから70周年を迎えた岸惠子さん(88)。2020年5月には日本経済新聞朝刊に「私の履歴書」を連載し、それを下地に加筆した自伝も21年5月1日に刊行。ドラマや映画への出演のほか、執筆、講演にも精力的に取り組んでいる。今回、単独インタビューに応じてくれた岸さんは「もし人生に後悔があるとしたら、デヴィッド・リーン監督の名作映画『戦場にかける橋』(1957年公開)に出演し損ねたことだった」と振り返る。前半・後半の2回に分けてお届けする。

リーン監督が直接依頼、主演俳優も説得に来日

――世界的な巨匠のリーン監督から映画出演を直接依頼されたんですか。

「そうなんですよ。『戦場にかける橋』も含めて、リーン監督から何度か出演依頼をもらいました。最初のきっかけは55年にシンガポールで開催された東南アジア映画祭。私は『亡命記』(55年公開)で最優秀女優主演賞を受賞したんですが、その会場で偶然、リーン監督が私の姿を見かけ、次回映画『風は知らない』の主役にピッタリだとひらめいたそうです。日本まで私を追いかけてきて、主役で出演しないかと誘ってくれたんですよ」

「いったん、その役をお引き受けしたんですが、残念ながらプロデューサーが急死。『風は知らない』の企画は途中で立ち消えになってしまいます。でもその半年後、リーン監督はそれにもめげずに別の映画『戦場にかける橋』に出演しないかと打診してくださった。私のための役も用意するという。強い熱意を感じたし、主役に決まったあのハリウッドの大スター、ウィリアム・ホールデンさんもわざわざ来日して、私にぜひ出演するように説得してくれたのでとても感激しました」

――そんな熱心な出演依頼をどうして断ったんですか。

「有り難い話だったけど、すでに豊田四郎監督の『雪国』(57年公開)に出演することを決めていたし、私生活ではイヴ・シァンピ監督と結婚してフランスに渡るつもりだったので、お断りすることにしたんです。リーン監督もそれを聞いて随分ガッカリされたようです。私のために用意してくれた役は結局、『戦場にかける橋』の脚本から削除されました」

――「戦場にかける橋」は58年のアカデミー賞で作品賞、監督賞など7部門を受賞。映画史に残る名作になりましたね。

「そうなのよ……。だから、結婚する時期を少しでも遅らせて『戦場にかける橋』に出演していたら、私の人生もだいぶ変わっていたかもしれないと後悔する気持ちは正直あります。後に、私の自宅によく遊びに来ていたショーケン(=萩原健一さん、『約束』『雨のアムステルダム』などで共演)がその話を聞いて驚いていた。以来、散々言われましたよ。『ああ、姉さん。あの傑作映画に出演しなかったのはマズッたなぁ。本当にもったいなかったなぁ』って……」

小津監督からも出演依頼、「東京暮色」は有馬稲子さんに

――この時期、岸さんには名作映画への出演依頼が目白押しでしたね。小津安二郎監督からも『東京暮色』(57年公開)への出演依頼があったとか。

「そうそう。『東京暮色』はもともと小津監督が私のために書いてくれた作品だったのよ。でも『雪国』の撮影が長引いてしまい、これにも出演できなかった。惜しかったわ。その役は友人の有馬稲子さんが演じてくれました」

――シァンピ監督、リーン監督、小津監督……。いずれも世界的な名監督ばかり。岸さん、モテモテですね。リーン監督にくどかれて、結婚する可能性もあったんじゃないですか。

「ああ、一時期はそんな噂が飛び交ったこともあったわね……。リーン監督が私に好意を持っていたのはよく分かっていました。ステキな方だったし、映画監督としても尊敬していたのですごく光栄だったけど、年齢が離れすぎていたから、恋愛関係になるのは難しかったんじゃないかしら(リーン監督と岸さんとは24歳差)」

リーン監督の妻が嫉妬、横浜で「五右衛門風呂事件」

「実はこれには後日談があって、私がイヴと結婚した後のことなんだけど、ある日、パリで劇場に出かけると、背後に鋭い視線を感じたの。それでハッと振り返ったら、きれいな女性が私を怖い目でじっとにらんでいるのに気がついた。それがリーン監督の奥さんで女優だったアン・トッドさん。私に嫉妬しているらしいって、誰かが言ってたわ」

――リーン監督は生涯6回結婚し、恋愛関係も波乱が多かったようですね。

「もちろん、私とリーン監督との間には何も起きてはいないわよ。でもパリでもちょっとした噂になっていたみたい。私、映画監督としても憧れていた人だったし、尊敬もしていたので、リーン監督が亡くなる日まで、写真を自分の部屋にずっと飾っていました」

――岸さんの横浜の自宅に来たこともあったそうですね。

「『風は知らない』への出演依頼があった頃かな。原作者のリチャード・メイスンさんと一緒に横浜の私の自宅に泊まりに来たことがありました。3人で一緒に浴衣を着て撮った写真も残ってます。母は張り切って色々な手料理を作り、温かくもてなしてくれました」

「そのときにも面白いエピソードがあって、食事の後、お風呂に入ったはずのリーン監督とメイスンさんが、なぜか青い顔をしてガタガタ震えていたの。『どうしたのだろう』と不思議に思っていたら、2人ともお風呂の入り方が分からずに困っていたんですって。我が家は日本家屋で(湯に浮かんだ板の蓋を踏み沈めて入る)五右衛門風呂を使っていたから、外国人が分からないのも無理ないわね。皆で大笑いしました。今でもそれは懐かしい思い出として心に残っています」

(聞き手は編集委員 小林明、後半へ続く)

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