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メインの平台にDX関連本などと並べて展示する(リブロ汐留シオサイト店)

メインの平台にDX関連本などと並べて展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。緊急事態宣言が続いているが、人出はそれほど変わっておらず、ビジネス書の売れゆきも大きな変化は出ていない。そんな中、書店員が注目するのは、「顧客との関係性の構築」に重きを置いたデジタルマーケティング手法を詳しく解説した一冊だった。

新規顧客獲得がゴールではない

その本はDearOne『グロースマーケティング』(クロスメディア・パブリッシング)。著者のDearOneはNTTドコモの子会社で、デジタルマーケティング関連のツールの提供と支援を主な事業にしている。その知見をもとに、米国でかなり当たり前になってきている最新のデジタルマーケティング手法を解説したのが本書だ。

日本のデジタルマーケティングはいまだに新規顧客獲得段階にとどまっているというのが本書に流れる基本認識だ。米国では獲得がゴールではなく、獲得した顧客をいかに継続的な関係へと導けるかを注視し、施策を打つことが当たり前になっているという。これが書名にもなっている「グロースマーケティング」だ。

顧客の行動を理解するにはどのようなデータを集めるのか、その設計から始まって、どのような指標を用いれば自社のビジネスの成長につなげることができるか、その設定の細かい考え方まで詳細に解説する。その意味ではデータアナリストやマーケターなど一定の技量を持つ実務家向けの本に思えるが、本書の意図するところはそこにとどまらない。

データを一般化し、経営層や開発部門、マーケターと異なる職位・役割のメンバーが同じデータを見て自走し課題解決に向かう。そのような手法としてグロースマーケティングを位置づける。それゆえ直接マーケティングやデータを担当するビジネスパーソンでなくても、きちんと考え方を理解しておくことがこの手法を駆使する上で重要になると本書は説く。

前半の1、2章はグロースマーケティングとは何かというところから始まり、現在のマーケティングの潮流や現状の課題を見ていく。「まず顧客を行動ベースで理解する」「その後、顧客体験を高めるサービスの改善、施策をシームレスに速いスピードで行う」「その改善・打ち手で何をめざすのかという指標を、しっかりとビジネスのインパクトを理解した状態で設定する」。この3つの軸を通じてビジネスを持続的成長へともっていくのがグロースマーケティングのめざすところだ。

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