290ポイント 洋式ドック、こんにゃくレンガの建物

薩摩藩の五代友厚、小松帯刀と英国人グラバーらの尽力でつくられた洋式近代ドック。蒸気機関の力で船を引き揚げる仕組みになっていて、船を載せる台がソロバンのようにみえたことから「ソロバンドック」と呼ばれて親しまれた。
引き揚げ小屋には薄くて平らな通称こんにゃくレンガが使われており、現存する国内最古のレンガ造りの建物とされる。2015年には世界遺産に登録。「明治政府から三菱の所有などを経て今に至る近代造船発祥の地といえる。壮大な歴史物語に誘ってくれる」(前畑さん)
(1)長崎市(2)三菱重工業長崎造船所史料館提供。
280ポイント 紡績工場を保存・再利用

明治時代の倉敷紡績所(現クラボウ)本社工場を保存・再利用した。倉敷美観地区にある複合施設。ホテルや紡績産業の歴史が学べる施設などがある。
「明治のレンガ造り施設であるということに加えて、産業遺産を改修して使い続ける方向性を示した先駆的な例のひとつとして歴史的価値がある」(二村さん)などと評価する声が集まった。
建物は英国の工場設計の思想を取り入れ、英国流のレンガの積み方や特徴的な形をしたのこぎり屋根などに当時の面影が残っている。
(1)岡山県倉敷市(2)倉敷アイビースクエア提供。
270ポイント 鉄筋コンクリートと組み合わせ

軍服や軍靴などを製造・保管していた軍需工場だった。建物はレンガ造りと鉄筋コンクリート造りを組み合わせた構造になっており、建築技術が発展するなか、その移行期に建てられたことがうかがえる。
「町なかにこつぜんと現れる巨大なレンガの構造物はここでしかみられない。被爆を伝えるという意味でも貴重なもの」(富本一幸さん)
4棟が現存するが、長期間使われていない。耐震性不足も明らかになり、所有する広島県は解体の方針を示しているが、保存・活用を求める声もある。
(1)広島市(2)玉井良幸撮影。
250ポイント 別子銅山に電力、600メートル落差も

有数の銅の産地として知られた別子銅山に電力を供給するため、明治末期に操業を始めた。山の斜面を生かし、当時東洋一といわれた約600メートルの落差を活用して発電していた。
やはり当時世界最長とされた約20キロメートルの海底ケーブルで瀬戸内海に浮かぶ島の製錬所にも送電していた。ドイツ製発電機や周波数変換機が現存している。
「地元・新居浜の産業化にも大きな役割を果たした。山の深緑とレンガ造りの建物のコントラストも美しい」(富本さん)場所。現在は耐震補強工事中となっている。
(1)愛媛県新居浜市(2)新居浜市提供。
240ポイント 金属溶かす設備、耐火レンガ使用

反射炉は大砲や砲弾をつくるために金属を溶かす設備。江戸幕府の直営で1857年に完成した。地元の代官、江川太郎左衛門英龍(坦庵)が生みの親として広く知られている。高さ15メートルを超す煙突部分に耐火レンガを使用。実際稼働した反射炉としては唯一現存するものだという。2015年には世界遺産に登録された。
「当時の最先端技術が集められた場所。製鉄・製鋼、造船、石炭といった産業の基盤づくりに貢献した」(小塩さん)、「歴史に思いをはせるうえでも貴重な遺産」(井門さん)だ。現在は保存工事中となっている。
(1)静岡県伊豆の国市(2)伊豆の国市提供。