3度目の「ウッドショック」

ところで「ウッドショック」が起きたのは今回が初めてではなく、3度目なんです。1990年代に米国で絶滅危惧種のフクロウを保護しようと森林伐採の規制が進み、木材の供給不足が起きました。2度目が2008年のリーマン・ショック直前の好景気のもと住宅の建設ラッシュとなり、木材価格が上昇しました。

「木材の輸入が難しければ国産に切り替えればいいのでは」という声も出ています。実際に輸入材が値上がりした2015年には国産材シフトも起きました。日本の国土の7割が森林です。一見すると資源は豊富そうですが、今回の品不足に対応するほどの増産は難しい状況です。日本の森林は戦中・戦後に大量伐採されて荒廃してしまいました。木材の自給率は減少の一途をたどり2002年には18.8%まで低下しました。

昭和30年代に植えた木が伐採できるようになり2019年に自給率は37.8%まで回復しました。ただ、長年の輸入木材への依存で林業従事者も減ってしまいました。限られた林業従事者を伐採作業にシフトさせると今度は森林のメンテナンスや植林にかける作業員が減ってしまい、数十年後の木材生産に影響が出てしまいます。切った木材を加工する工場も設備投資に二の足を踏みます。日本の林業・木材業界は数多くのジレンマを抱え、突然の「ウッドショック」に立ちすくんでいます。

(BSテレ東日経モーニングプラスFTコメンテーター 村野孝直)

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。
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