2021/5/25

たまっていてもNGの3つのパターン

貯蓄が大切とはいえ、ただためればよい、たまっていればよい、というものではありません。計画的に、意識してためることが大切。だから、たまっていても、次のようなケースはNGです。

・使うひまがなくてたまっていく

仕事が忙しくて生活費以外のお金を使う時間がないために、お給料の振込口座にお金がたまっていく一方、という人がいます。生活費のやりくりに苦労している人から見たらうらやましい限りかもしれません。でも、この場合は「計画的」ではないのでNG。

いつの間にかたまったお金は、いつの間にか使ってなくなってしまう可能性も高いもの。だから、意識してお金を分けましょう。

口座に毎月お金がたまっていくのであれば、毎月の生活に必要な額だけが口座に残るようにして、あとは財形貯蓄や積立定期預金などの先取り貯蓄で、給与振込口座以外のところにたまるようにします。そうすれば、ムダにお金を使ってしまうリスクが避けられるし、「毎月の積立額×月数」で今いくらたまっているかがすぐに把握できます。

・いくらためても不安

将来へ向けてお金をためてはいるけれど、いくらためても不安、という人もいます。このケースは、「将来のため」という目的でお金をためているように見えますが、目的が具体的ではありません。なので、ためてもためても不安になってしまうのです。

このような場合は、何が不安なのかをじっくり考えてみましょう。不安の要因がわかれば、それに備えることで不安が解消されます。

老後の生活費が心配なら、老後の支出を見積もり、老後の収入である公的年金の額を日本年金機構の「ねんきんネット」でチェックして、公的年金だけで生活していけるかどうかを確認します。年金だけでは生活費が不足しそうなら足りない額を計算し、「年間不足額×リタイア後の年数」の金額を、リタイアするまでの目標にしてお金をためていけばいいのです。

病気が心配なら、公的医療保険や加入している健康保険の給付を調べ、それでは足りないと思ったら、保険会社の医療保険に加入します。介護が心配なら、在宅介護や施設介護にかかる費用を調べて、必要と思われる額を貯蓄目標額にしましょう。

こんなふうに、お金の不安は必要額を調べて計算すれば解消できます。

・お金をためるのが趣味

お金をためるのが趣味で、残高が増えていく通帳を見てニンマリ、なんて人もいますよね。でも、お金は使うためのものであり、何かに使ってこそ価値があるのですから、ためること自体を目的にするのはNG。

まして、お金をためるために、趣味も持たず友人とも付き合わず旅行にも行かないというようだと、将来、お金はたくさんあっても、趣味もなく友人もなく思い出もない老後を過ごすことになってしまいます。人生には楽しみも必要。自分が楽しめるものにお金を使うことは大切です。

ただし、趣味にのめり込んで、貯蓄ができないほどにお金を使ってしまうのがNGであるのは言うまでもありません。趣味や楽しみのためのお金は「毎月いくらまで」というふうに決めて、計画的に使うようにしましょう。

ためる目的を明確にする

「計画的」というのは、「財形貯蓄で毎月○万円」といったため方だけでなく、使う目的を明確にすることでもあります。

「何のために」という目的をはっきりさせ、「いつまでに」、「いくら」準備する、と決めて、そのために「毎月いくら積み立てる」と決めて行うのが計画的な貯蓄です。目的があればためるモチベーションがアップし、目的が実現できたときの喜びも大きくなります。

今ある貯蓄も、ひとまとめに考えるのではなく、「○万円はマイホームの頭金用」、「○万円は△年後に独立するための費用」「○万円は□歳のとき××へ旅行するためのお金」「○万円は老後の生活にあてるお金」など、目的別に分けておくとよいですね。そうすれば、夢を着実に実現することにつながるし、1つの目的のためにお金を使いすぎたり、いつの間にかお金が減っていたりすることも避けられます。

すでにある程度お金がたまっている人は、これからのライフイベントや夢を書き出して、項目ごとにお金を振り分けてみるとよいですね。

馬養 雅子(まがい・まさこ)
オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。千葉大卒。法律雑誌編集部勤務、フリー編集者を経て、ファイナンシャルプランナーとして記事執筆、講演などを手掛けてきた。著書に「だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方」(ナツメ社)など。http://www.m-magai.net