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吉野家が接客改革 あいさつはなぜ「こんにちは」に

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NIKKEI STYLE

牛丼チェーンの吉野家が、客を迎えるあいさつを「いらっしゃいませ」から「こんにちは」に切り替えました。店員と客との会話を促すのが狙いですが、外食業界では券売機やタッチパネルが普及しています。サービス自動化の逆を行く試みについて、現場や専門家の話を聞いてみました。

「恥ずかしくて切り替えに苦労しました」。1日に1000人超が訪れる東京都千代田区の吉野家有楽町店。店長の三浦裕美さんは20年超の接客で慣れ親しんだ「いらっしゃいませ」の廃止に当初は戸惑いました。

同社は2019年9月にあいさつの変更を全国1100店超に周知しましたが、公表したのは21年4月になってからです。広報の寺沢裕士さんは「現場での浸透に時間がかかった」とその間の事情を説明します。

なぜそこまでして「こんにちは」を選んだのでしょうか。寺沢さんは「顔を上げてあいさつするため」と説明します。もともと同社は威勢の良い「いらっしゃいませ」を接客の信条としていました。ところが近年、メニューが増えたことなどで作業が複雑となり、下を向いてあいさつする店員も見られるようになりました。寺沢さんは「こんにちは」だと「客の目を見てあいさつするので、会話のきっかけになる」といいます。

会話重視の吉野家流は専門家の目にどう映るのでしょうか。マーケティングを研究する一橋大の松井剛教授は「他の牛丼チェーンと一線を画す戦略だ」と指摘しています。

新型コロナの影響はあるものの、飲食店などの接客は人手不足が続いています。このため牛丼チェーンの松屋はほぼ全店で客が自ら操作する券売機を導入し、省力化を図っています。対する吉野家は、注文でも会計でも店員と客との会話が欠かせません。「客は会話から特別な体験を得られることもあり、吉野家はそのようなニーズを満たそうとしているのではないか」と松井氏は見ています。

マネックス証券マーケット・アナリストの益嶋裕氏は学生時代に吉野家で5年間アルバイトした経験から、会話重視の姿勢を「企業文化が一貫している」といいます。一方でアナリストの立場からは「店員との接触を最低限にしたい客もいる。コスト面からは券売機などを置く方が合理的では」と収益改善への効果を疑問視していました。

食生活などを研究する第一生命経済研究所の北村安樹子主任研究員は「客には会話を求める人も機械的なサービスを求める人もいるので、バランスが求められるだろう」と話していました。吉野家の真価は、店員も客もマスクを取ったときに試されそうです。

松井剛・一橋大学教授「交流重視、商機拡大のきっかけに」

「いらっしゃいませ」という接客のあいさつは日本で長く定着してきました。1899年に創業した吉野家があいさつを「こんにちは」に変えたことは、どんな意味を持つのでしょうか。マーケティングや消費文化を研究する一橋大学の松井剛教授に聞きました。

――吉野家のあいさつの切り替えをどう受け止めましたか。

「同じ牛丼チェーンの松屋と比較してみましょう。松屋に入った客は券売機でチケットを買うため、ひと言も発せずに食事を済ませて店を出ることができます。対して吉野家では店員に注文を聞かれ、会計の時も店員と顔を合わせます。吉野家はもともと店員と客とのインタラクション(交流)を重視していたのです」

「こうした店ごとのサービス方式を、マーケティングではスクリプト(台本)と呼んでいます。吉野家はあいさつを『こんにちは』に切り替えることで、交流を重視するスクリプトを一歩進めたといえるでしょう。『こんにちは』と呼びかけられた客は、思わずあいさつを返してしまうこともありますから」

――交流を重視するのにはどんな意味がありますか。

「店のスクリプトは商機とつながっています。交流の機会が増えれば、店員が客に商品を勧めることができますし、店員と客との継続的な関係を築くこともできます。たとえば私が先日訪れた吉野家の店では、店員が若い客に『就職は決まった?』と話しかけていました。こうしたコミュニケーションは、客の立場からみれば他の店では得られない特別な経験です。回転率が求められる牛丼チェーンという業態でも、吉野家は人間的なサービスの余地を残しているといえます」

――接客での「こんにちは」は、外資系のコーヒーチェーンなども用いています。

「日本の伝統的な接客は、客が上で店員は下、という上下関係を基本としていました。『いらっしゃいませ』というあいさつはその典型といえます。しかし若者を中心に、店員と客とのフラットな関係を受け入れる素地が日本の社会にもできてきたように思います。店員に高圧的な態度をとる客を『カスハラ』と批判するようになったのも、その象徴でしょう」

――人手不足が深刻な外食業界はサービスの自動化も進んでいます。

「接客サービスには自動化と交流重視と2つの流れがあり、二極化しつつあるように見えます。自動化を追求する流れの先には、配膳ロボットや無人レジがあります。他方、人による個別対応サービスに価値を求める流れも消えることはないでしょう。サービスに人間的な交流を求める人がいる限り、吉野家のスクリプトは意味を持つのだと思います」

(高橋元気)

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