この話の主人公・蒼太はN大学経済学部の3年生。友達も多く、大学生活を楽しんでいます。しかし最近、就活について同級生が話題にすることが増え、まだ先のことだと思っていた蒼太も少し不安になってきました。そこで今日は、労働経済論を担当している安藤先生に相談に行くことにしました。
(コンコンコン! 安藤研究室の扉をノックする音)
安藤先生 はい、どうぞ。
蒼太 こんにちは。先生の授業をとっている南蒼太(みなみ・そうた)です。でも今日は、労働経済論の話ではなく、就活のことで質問があるんですけど、いいですか?
安藤先生 はい、南さんは3年生ですね。いいですよ。どんな質問ですか?
蒼太 えーと、インターンについてです。ゼミの友達がインターンの申し込みを始めているみたいで、自分もやった方が良いかなと考えているのですが。
安藤先生 インターンですか。もう少しで6月ですから、確かに準備は始まっている頃ですね。
蒼太 友達にも相談してみたのですが、そもそものことがわからないのです。インターン先の見つけ方とか書類の楽な書き方とか、みんなそんな話ばかりしていて。
安藤先生 「そもそものこと」とは?
蒼太 うーん、なんというか。インターンって必要なんですか? というか、なんでやらなければいけないのでしょうか?
インターンとは何か?
安藤先生 なるほど。周りの人がインターンの準備を始めているようだけど、なぜインターンをやるのかその理由がわからないということですね。
まず「なぜやるのか?」という疑問を持つのは大事なことです。これから本格的に就職活動が始まるわけですが、みんながやっているから自分もやる、また誰かに言われたからやるというのではなく、自分に必要かどうかを考えようとしているわけですから。
さて、「インターンシップをなぜやるのか?」についてですが、まずその前に確認しておきたいことがあります。それは「インターンシップってなんですか?」ということです。
南さんがどのように捉えているのかを簡単に教えてください。
蒼太 えーと……、就職活動の前に、志望する業界や企業で実際に働く体験ができる機会、ですよね。
でも、学生からすると、そんな純粋な社会人体験とは思っていなくて、インターンでの様子が本選考にガッツリ関わってくるんですよね? だから志望企業のインターンに参加できないと、普通は出遅れたって感じるみたいです。
安藤先生 インターンをやらないと、就職活動に出遅れた気がするということですね。確かにインターンは就職活動の準備としては一般的なものになっていて、8割強の学生が参加しているという調査もあります。