検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

インターンなぜするの 就活前に理解したい企業の本音

ふつうの大学生のための就活ガイド 第1話

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

6月は就職サービス大手のインターンシップ(職業体験)情報サイトがオープンとなり、2023年卒業予定の学生が早くも就職活動に向けて動き始める時期になります。この連載では、就活についてこれから考える「ふつうの大学生」に向けて、日本大学経済学部の安藤至大教授が就活の始め方を解説します。就活を始める前に知っておきたい事実や考え方、基本ルールについて、安藤先生が学生の素朴な疑問に答える対話ストーリーで展開していきます。(学生や会話はフィクションです)

この話の主人公・蒼太はN大学経済学部の3年生。友達も多く、大学生活を楽しんでいます。しかし最近、就活について同級生が話題にすることが増え、まだ先のことだと思っていた蒼太も少し不安になってきました。そこで今日は、労働経済論を担当している安藤先生に相談に行くことにしました。

(コンコンコン! 安藤研究室の扉をノックする音)

安藤先生 はい、どうぞ。

蒼太 こんにちは。先生の授業をとっている南蒼太(みなみ・そうた)です。でも今日は、労働経済論の話ではなく、就活のことで質問があるんですけど、いいですか?

安藤先生 はい、南さんは3年生ですね。いいですよ。どんな質問ですか?

蒼太 えーと、インターンについてです。ゼミの友達がインターンの申し込みを始めているみたいで、自分もやった方が良いかなと考えているのですが。

安藤先生 インターンですか。もう少しで6月ですから、確かに準備は始まっている頃ですね。

蒼太 友達にも相談してみたのですが、そもそものことがわからないのです。インターン先の見つけ方とか書類の楽な書き方とか、みんなそんな話ばかりしていて。

安藤先生 「そもそものこと」とは?

蒼太 うーん、なんというか。インターンって必要なんですか? というか、なんでやらなければいけないのでしょうか?

インターンとは何か?

安藤先生 なるほど。周りの人がインターンの準備を始めているようだけど、なぜインターンをやるのかその理由がわからないということですね。

まず「なぜやるのか?」という疑問を持つのは大事なことです。これから本格的に就職活動が始まるわけですが、みんながやっているから自分もやる、また誰かに言われたからやるというのではなく、自分に必要かどうかを考えようとしているわけですから。

さて、「インターンシップをなぜやるのか?」についてですが、まずその前に確認しておきたいことがあります。それは「インターンシップってなんですか?」ということです。

南さんがどのように捉えているのかを簡単に教えてください。

蒼太 えーと……、就職活動の前に、志望する業界や企業で実際に働く体験ができる機会、ですよね。

でも、学生からすると、そんな純粋な社会人体験とは思っていなくて、インターンでの様子が本選考にガッツリ関わってくるんですよね? だから志望企業のインターンに参加できないと、普通は出遅れたって感じるみたいです。

安藤先生 インターンをやらないと、就職活動に出遅れた気がするということですね。確かにインターンは就職活動の準備としては一般的なものになっていて、8割強の学生が参加しているという調査もあります。

安藤先生 一方でインターンについて、政府から出されている「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」では、大学4年生の6月までは、企業側があらかじめ明示していたとしても「(インターンで得た)学生情報は採用選考活動に使用できない」とされています。

もちろん実際に就職活動をしている学生の皆さんからすると「そうは言ったって本当はやっているんでしょ?」と感じていることは理解できます。例えば、いまの大学4年生について、採用広報が解禁されるはずの3月1日の時点ですでに内定を得ている学生が21.1%いて、その大部分はインターン先の企業という調査結果もありますしね。

ただ、この政府から出されている基本的な考え方は、「学生の皆さんを守るため」に定められたものだということは理解してください。ご存じだと思いますが、インターンと一概に言っても、様々な種類があるのです。主なものとしては、

・大学と企業や行政が提携し、大学の単位として認可される比較的長期のもの
・企業や行政に直接申し込み、選考を通じて行われるもの(1日だけの短期のものから、1カ月以上の長期のものまで)
・募集は「インターンシップ」となっているが、形態としてはアルバイト活動といえるもの

などがありますね。

蒼太 そうなんです、たくさんありすぎて。皆が準備を始めているので、色々な情報を見ていたら迷ってきてしまったんです。でも気持ちだけは焦るから、どれでもいいから申し込んで体験しておいたほうがいいのかなと思ったりもして……。

それで、1人で悩んでいてもと思い、先生に相談しにきました。

安藤先生 どれでもいいからというのは、確かに危険ですね。

南さんもインターンを体験するからには就活をはじめとした自分自身の進路選択に役立てたいわけですよね。選考に有利になる可能性だけではなくて、志望業界や志望企業のことを知る、自分自身の興味を知る、という側面も重要です。

実は企業側も不安でいっぱい

蒼太 そうですね。焦ってもダメですよね。それはわかっているつもりですが、ゼミの先輩も、すでに就活を終えている人もいれば、就活真っただ中でゼミに出席できない人もいるので、やはり3年生のみんなも「なんだか不安だな」って顔をしています。

安藤先生 学生の皆さんが不安に思うのは当然です。最初にどの会社に就職したのかによって、その後の生活やキャリアも変わってきますしね。

さて、学生の視点だけではなく、企業の視点からもインターンについて考えてみましょう。企業はなぜインターンを実施するのでしょうか?

蒼太 優秀な学生を早めに確保したいんだと思います。先ほど先生もお話しされていましたが、すでに就活を終えたゼミの先輩は、インターン先の企業に就職するそうです。

でも正直、僕はインターンなんてやめてほしいという気がしていて。まだどの業界を志望するかも固まってない僕みたいな学生からすると、損する仕組みのように感じます。優秀な友達とかを見ると、「あぁ、こんな活発でデキる奴はインターンですぐに企業に目をかけられて、さっさと内定もらっちゃうんだろうなぁ」と思うんです。だからインターンは、そういうデキる奴との差をどんどん広げちゃう仕組みですよね……。

安藤先生 「差が広がる」ですか。確かにそのような面はありますね。すでに十分な準備をしてきた学生とこれから就活に取り組む学生では、インターンの機会を活用できるかどうかに違いが出ることは避けられません。

しかしインターンだけで予定している採用人数のすべてが決まってしまう企業は少ないと思います。通常の採用プロセスで決まる人数の方が多いので安心してください。何しろインターンに参加できる人数は、実際の採用人数と比較して非常に少ないわけですから。

安藤先生 南さんが言うように、インターンで目をかけられて実質的に採用が決まるケースもあると思いますが、企業はどうしてそのような行動を取るのでしょうか?

蒼太 え、そりゃあ、デキる奴に入社してもらいたいからですよね。

安藤先生 そうですね。一緒に働きたいと思える優秀な人材を採用したいわけです。

ところで先ほど、3年生のみんなも「なんだか不安だな」って顔をしていると、言っていましたね。しかし、ここで南さんが理解しておく必要があるのは、企業や採用担当者の側も、正社員を採用する際にはとても不安を感じているということです。

蒼太 企業も不安? なんでですか?

安藤先生 企業がひとりの正社員を雇用する際には、とてもお金がかかります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査から労働政策研究・研修機構が算出した数値を見ると、大卒・大学院卒の労働者が60歳までに得る生涯賃金の平均は、男性で2億7210万円、女性は2億1570万円です。これは平均的な転職を経験しているケースで、退職金や61歳以降の賃金は含まれません。

また、企業が人を雇う際に負担する費用は、労働者に対して直接支払う賃金だけではありません。社会保険料の企業負担やオフィススペースの確保、その他福利厚生など様々な面でお金がかかります。乱暴な計算ですが、例えば賃金の1.5倍と考えると、男性では4億円を超える金額になります。

南さんの友達を1人思い浮かべてみてください。もし採用する立場だったとして、その人に4億円を払えますか?

蒼太 うーん、それは無理かも……。

安藤先生 もちろん採用した時点で全額払うわけではありませんし、雇った労働者は働いて価値を生み出してくれます。しかし正社員として一度採用すると、長期的な関係になります。できるだけ長い期間、働いてほしいと多くの企業は考えますし、法的にも一度雇用するとなかなか関係を解消するのが難しいという側面もあります。そう考えると、会社に貢献してくれる可能性が高い人を厳選して採用しなければなりません。

企業がインターンを受け入れる理由

蒼太 でも、企業側も不安という話とインターンはどうつながるんですか?

安藤先生 まず通常の採用活動では、エントリーシート(ES)と筆記試験、また数回にわたる面接試験などで内定者を決定します。その際に会社側はできるだけの努力はするのですが、実質的に個々の学生を評価するために使える時間は短いですよね。

これに対してインターンの場合は、参加した学生がその企業を受けない可能性もありますし、企業側も会社を知ってもらうという側面が強いわけですが、実際に一緒に働いてみて、その学生がどんな人なのかを知ることができます。採用する学生の能力や会社との相性といった不安要素を解消するために、インターン学生の受け入れという費用をかけているわけですね。

また良い人を採りたいと考えている企業にとって、優秀な学生は他の会社でも高く評価されるはずなので、早めにアプローチしたいと考えます。これも学生を他社に奪われてしまうという不安を解消するための取り組みだといえます。

インターンを受け入れる理由には、学生の教育を通じた社会貢献なども当然ありますが、利益をあげることが求められている民間企業に限れば、やはり採用面でのメリットの存在が最も重要な理由だといえるでしょう。

蒼太 企業側も不安で、その不安を解消したがっているということか、なるほど。そういう風に考えたことはなかったです。(じゃあ結局、インターンはどうしたらいいんだろう…?)

安藤先生 それでは、南さんの最初の質問に戻って、考えてみましょうか。

蒼太 「インターンは必要か?」ですね!

(次回へ続く)

安藤至大
 日本大学経済学部教授。2004年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授、日本大学大学院総合科学研究科准教授などを経て、18年より現職。専門は契約理論、労働経済学、法と経済学。厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で公益代表委員などを務める。著書に「これだけは知っておきたい 働き方の教科書」(ちくま新書)など。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_