具体的な事業内容を考えたときに、開成の生徒たちのことがよみがえりました。昼休みの会話を聞いていると、1クラス40人の中で10人くらいはゲームやアニメの話をしている。彼らはYou Tubeやパズドラを消費者として楽しんでいるわけですが、中には自分でゲームを作ってみたので先生見てください、と言ってくる子がいた。

でも、当時はそういうのはオタクと呼ばれて全然褒めてもらえなかったんです。一方で、シリコンバレーに行けばそういう能力がものすごく求められている。せっかくプログラミングに興味を持つ子がいるなら、彼らが消費者ではなく作り手側になれるような環境を作ってあげたい。そこから中高生を対象にしたプログラミング教育というアイデアが生まれました。

2010年に創業。ライフイズテックのキャンプやスクールで学んだ子どもたちはのべ5万2千人を超える。

小学校でもプログラミングが必修化されるなどニーズは急拡大しています。キャンプやスクールのほか、オンライン教材や学校向けの教材も作り、教員向けの無料研修も実施しています。企業や自治体と連携して、大学生や社会人を対象にしたデジタル人材育成事業も始めました。

19年には米国子会社も設立。社長は浅野中高の同級生の宮川聡です。彼は東京大学を出て東京海上日動火災保険に入り、スタンフォード大で経営学修士(MBA)を取ったエリートです。僕の会社に来てほしいとずっと口説いていたのですが、スタンフォードで優秀な仲間がみな起業にチャレンジしているのを目の当たりにして、彼の心も動いたようです。

今は2025年をメドに学校を作るのが目標です。オックスフォードのように、学校を中心とした地域社会を作りたいんです。そして子どもたちのデータを先生や親が共有し、生かしていく仕組みも開発したい。その準備として、品川女子学院中高と組んで、偏差値に代わる物差しを作るプロジェクトを実施しました。

24歳から27歳の人にアンケートで、今、どんな企業でどんな仕事をしているか、年収はいくらかなどを尋ね、合わせてその人たちが学生時代に何に興味をもち、どんな教育を受け、起業体験プログラムを受けたかどうかなどを調べて、その相関関係を探っています。例えば、アントレプレナーシップ(起業家精神)が高いと幸せになれるといったことがデータで証明できれば面白いなと。僕自身のプライベートの時間を使って起業塾を開いたりもしています。

浅野時代に教師を目指し、開成で教えた生徒に触発されて起業し、今は学校を作ろうと奮闘している。決して計画していたわけではないですが、振り返ると一本の線でつながっている気がしますね。

(ライター 石臥薫子)

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