開成では生徒がぐっと伸びる瞬間を目撃した。

野球部では、生徒が急にうまくなる瞬間に何度も立ち会いました。開成は体育祭も有名です。全生徒が8つの組に分かれ、高3が下級生の指導役になります。組織づくりからルールの策定に至るまで前例踏襲を良しとせず、毎年、生徒が徹底的に話し合いながら作り上げていく。まさに生徒の自立を促す仕組みがあるんです。

僕は開成の生徒たちと接する中で、中高生を相手にする仕事に一生をささげたいと思うようになりました。この時期、それまで親や先生の言うことに従ってきた子どもたちは、初めて自分の頭で考え、自立しようともがきます。上からの押し付けには反発しますが、ナナメの関係でうまくアドバイスしてあげると、彼らはぐっと成長する。そこを支援する仕事をしたいと思ったのです。

「浅野時代に教師を目指したところから1本の線でつながっている気がする」と振り返る

教師になる前、3年間は社会人としての経験を積もうと就職した。

ワイキューブという人材採用コンサル企業に入り、営業を担当しました。リクルート出身者が作った会社で、採用コンサルという業種がない時代に初めてその分野を開拓した企業です。残念ながらその後、倒産してしまいましたが、いろいろ勉強させてもらいました。

大学・大学院で学んだ物理とは無縁の会社を選んだ理由は3つあります。1つはいろんな職種の人と仕事ができること。2つ目は、大企業だと若手は下働きさせられますが、僕の場合、最初から3年で辞めると決めていたので、若手にも仕事を任せてもらえる環境が魅力でした。3つ目は経営者と仕事ができる点です。3年で自分が成長するために、トップレベルの人たちの仕事ぶりを間近で見たかった。ワイキューブの営業先は中小企業の社長なので、まさにうってつけでした。

2年半がたち、そろそろ先のことを考え始めた頃に、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」にハマりました。日本全体を変革するんだ、みたいな話にすっかり感化されたのです。教師だと特定の学校の生徒が対象になりますが、僕は、日本の中高生の教育全体を変えるんだと意気込みました。

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