このタレに合わせるのは、太さ1センチ近くあろうかと思われる超極太麺。岩手産のもち麦「もち姫」、北海道産「春よ恋」「きたほなみ」など香り豊かな国産小麦を厳選し、生地から丹念にこね延ばし切り分けた、手間ひまの塊である。

麺をズズっとすすり上げ、ガシッとかじれば、顎を押し返すような強烈なコシと弾力。まさに食べ手をねじ伏せるかのよう。箇所によって太さや厚みがランダムである点も、食感に絶妙なメリハリをつけ、『MENクライ(麺食らい)』の屋号にふさわしい。

トッピングのチャーシューにも、妥協の余地はない。岩手産国産豚の雌の肉を厳選し、自家製のタレに漬け込み、じっくりとつるし焼きを施している。薫香とジューシーな肉の風味が、食欲を無際限にかき立てる絶品。事前の想像をはるかに上回るハイレベルな1杯に、思わず「美味過ぎる」とつぶやいてしまった。同店は私の中では今期最注目の1つだ。
◎JUNK NOODLE FACTORY(ジャンク ヌードル ファクトリー、千葉市)

~女性をメインターゲットに据えた新感覚ガッツリ麺!「パレット」の魅力を堪能せよ~
続いては、千葉市緑区おゆみ野中央に本年4月にオープンした『JUNK NOODLE FACTORY』。同店は、千葉県を代表するガッツリ系ラーメンの実力店のひとつ『らーめん旭郎山(きょくろうざん)-浜野』のセカンドブランドだ。同店を率いる店主(張替正規氏)は、イタリアンからラーメン界へと転身、身ひとつで同店を大人気店へと押し上げたすご腕職人だ。
今般、店主が2号店を開業したのは、ひとえにラーメン好きの裾野の更なる拡大を図りたいという一心から。「女性やファミリー客は、ガッツリ系ラーメンを食べてみたいと思っても、大量のモヤシや巨大な豚(チャーシュー)が鎮座する武骨なラーメンを前にすると、どうしても気押されてしまいがち。そんな方々をメインターゲットに据えて創り上げたのが、このお店です」(張替氏)

「パレット」と銘打たれた同店オリジナルのメニュー群には店主の「イズム」が具現化されている。現在、「照り焼きチキンパレット」「レッドチキンパレット」「ローストビーフパレット」など5種類だが、特におすすめしたいのが「レッドチキンパレット」。圧力釜を駆使し、うま味を凝縮させた鶏白湯スープは美しい乳白色で、思わず目を奪われる。スープをブレンダーで泡立て、フワリと軽快な口当たりにする配慮も心憎い。
スープに合わせる麺は、モッチリとした食感が印象深い太麺。水分をたっぷり蓄えた麺肌はみずみずしさにあふれ、何本すすっても、すすり飽きることがない。トッピングは野菜、チキンなど。チキンをサクッとかじれば、目がさめるような辛みとともに、ジュワッと肉汁のうま味が弾け飛び、味覚中枢を強襲された気分になってくる。

麺量は一般的なガッツリ系ラーメンと遜色ない重量級だが、佇(たたず)まいは実にエレガントで、さながら「ラーメン版スープパスタ」のよう。新感覚の1杯といっていいだろう。