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メガーヌ ルノースポール ドラマが詰まった乗り味

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NIKKEI STYLE

webCG

デビューから3年を経て、一段とブラッシュアップされたルノーのハイパフォーマンスモデル「メガーヌ ルノースポール」。出力を増したエンジンや最新のエキゾーストシステムを搭載する、改良モデルの走りとは?

ハッとしてグー

2018年に箱根で試乗した初期型よりグッとサウンドがよくなっている、ような気がした。改良ポイントのひとつに「アクティブバルブにより排気音の音響特性を変化させるスポーツエキゾースト」を新たに装備したとあるから、筆者の記憶がおぼろげであるとはいえ、根拠がないわけではない。

さりとて、おぼろげなので、いや、最初からこんな音でしたよ、と指摘されれば、こりゃまた失礼しましたと申し上げるほかないけれど、それでも、こんなに野太かったっけなぁ、と筆者は首をかしげるだろう。なんせ記憶がおぼろげなもので……。

確実なことは、新型と呼ばれるメガーヌR.S.のこのマイナーチェンジドモデルが、ダッシュボードのスターターを押すと、ヴオンッという爆裂音を一発轟(とどろ)かせ、内燃機関の存在を印象づけることだ。それは舞台を去りゆく、化石燃料搭載車への弔砲であるやもしれぬ。最高出力が従来の279PSからメガーヌR.S.トロフィーと同じ300PSに引き上げられたというのに……。

webCGの地下駐車場のドアが開いたときの驚きは新鮮だった。その張り出したフェンダーに目を奪われた。より標準型に近い「メガーヌGT」よりも、R.S.はトレッドがフロントは45mm広がっている。前後19インチの245/35サイズのタイヤをおさめるためもあるけれど、トレッドは広いほうがコーナリング能力は高くなる。メガーヌR.S.はCセグメントの小型車だというのに、異様なほど広い全幅を持っている。サイズに制約のある地下駐車場で見ると、そのことがよりはっきり浮かび上がる。

ドラマが詰まった乗り味

走りだしての驚きは、乗り心地の明瞭な硬さだ。だれにでもフレンドリーな顔を見せるのではなくて、例えば三船敏郎演じる「椿三十郎」みたいな武骨さ、ひと嫌いみたいな雰囲気でもって、繊細なひとだったら不機嫌になるようなもてなしようで、つまるところ「抜き身の刀」なのだ、これは。

首都高速に上がってからも、目地段差では明瞭なショックを伝えてくる。段差があるぜ、と直截(ちょくせつ)に報告してくるのだ。フランス車らしい快適さ、という表現で了解されるような快適さとはちょっと離れたところにいる。

なるほど、ニュルブルクリンク北コース、7分40秒100という世界記録を達成したスペシャル、「メガーヌR.S.トロフィーR」をファミリーに抱える高性能モデルである。2008年に始まった「ニュルブルクリンク北コース、量産FF車最速への挑戦」という目標に向かって集められた技術と、内実は知りませんけれど、少年マンガ風につけ加えれば、友情と努力もあったにちがいないし、もしかして「おっさんずラブ」もあったかもしれない。それら友情、努力、勝利、そしてラブも含めたもろもろが、メガーヌR.S.には詰まっている。と信じるに足る乗り心地なのである。

このいささか不機嫌をもよおす乗り心地の硬さに慣れたころ、事態の変化に気づく。なんだ、存外、そうでもないぢゃないか、と思い直すことになるのだ。これはラリー由来の技術でつくられたダンパーを4輪に採用した4HCC(4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)というシステムが実現しているものであるらしい。ダンパーのなかにダンパーを内蔵しており、一定以上の入力があると、2番目のダンパーが作動して、それ以上のリバウンドや振動を抑制するという。大入力が入ってもドッシンバッタンしない。電子制御ダンピングのようなことを純機械式で行っている。

30%のパワーアップを果たした1.8リッターの直4直噴ターボは、よりターボらしさを増しているように思われる。アクセルに対してパワーの伸び感がより急激になっている。逆に言うと、低回転域ではちょっと空気が薄いみたいな感覚がある。3000rpmを超えるとトルクがドバッとあふれ出す。

路面に張りつくかのように

サスペンションでは、4HCCに加えて、DASS(ダブル・アクシス・ストラット・サスペンション)と、4コントロールという名前の4WS(4輪操舵)を技術上の特徴としている。DASSは前輪を、ストラットでありながらダブルウイッシュボーンのように位置ぎめし、タイヤの接地面の変化をおさえる。操縦感覚として、そのむかしのトヨタのスーパーストラットを筆者は思い出したけれど、そう書いたところで、なるほど、と得心される方は少ないかもしれない。そう思っているのなら書かなくてもいいのに、それでも書いちゃうのは、筆者が「わかっとる感」を出したいからですけれど、出ているでしょうか……。

4コントロールは約60km/h未満の低速走行では後輪を最大2.7度、前輪の操舵方向とは逆方向に、約60km/h以上の高速走行時には前輪と同方向に最大1度、自動的にアクチュエーターが動かす。レースモードでは変化の境界がそれぞれ100km/hに上がる。高速でのスタビリティーの高さは文句ない。

ノーマルモードで走っていると、60km/h以下の低速コーナーではちょっと違和感がある。ターンインでアンダーステアが出てきた感があって、エイペックスの手前でヒョコっと向きを変える感がある。そのヒョコっと曲がる感覚がオモシロイ。

とりわけ高速コーナリング中は、不思議なほど4輪がベターっと接地している感がある。前後重量配分は前輪駆動なので、63:37と、いかにもフロントヘビーなのに。ということを思うと、不思議なのだ。その意味では軽快感は薄い。オン・ザ・レールの爽快感はある。これが4代目メガーヌR.S.の、マイナーチェンジ前から有している独特のドライビングフィールだと筆者は思う。

屈指のホットハッチ

「マルチセンス」という名のドライブモードをレースに切り替えると、デジタル画像のタコメーターが赤くなって、排気音の音量が爆音レベルに上がる。ギアチェンジはいっそう素早く、エンジン回転が上がって、ピックアップのレスポンスもさらに俊敏になる。低速回転時の隔靴掻痒(そうよう)感が消えうせ、いつでもどこからでもトルクとパワーが出てくる。アクセルオフ時にはレーシングカーもかくやのバラバラバラっという燃焼音を聴かせてくれもする。山道では減速するだけで、ゲトラグ製の6段デュアルクラッチ式ATが積極的にブリッピングを入れて回転数を合わせながらダウンシフトする。その爆裂音のなんと爽快なことか。

新型では排気音が華やかになって快感度、痛快度がグッと上がっている。これはイイ!

屈指のホットハッチ。太鼓判だ。高いボディーの剛性感にビシッとしたステアリングフィール、硬い乗り心地、そして、ピックアップのするどいエンジン……。ポルシェ製ホットハッチがもしもあるとすれば、こういうものだろう。フランス製「ゴルフGTI」、というおなじみの表現もあるけれど、これでは当たり前にすぎる。フランス製「シビック タイプR」という言葉が浮かばなかったのは筆者が乗っていないからです。

いや、これはポルシェでもなければフォルクスワーゲンでもない。ルノーであることは自明なので、ルノーにとっては迷惑かつ不愉快な比喩ということになる。けれど、「ニュルブルクリンク最速」という共通する目標が、ま、ポルシェの場合は目標のひとつにすぎないとしても、ある種のグローバリズムといいますか、普遍性を獲得していることもまた確かであろう。

なので、メガーヌR.S.を日常の足としているような、ルノースポールが基準のひとがポルシェに乗ったときにはこう思うわけだ。

「まるでルノースポール……」

どこか後ろめたい気もする

と、ここでやめておけばよいのですけれど、ものすごく正直に申し上げれば、内燃機関で多くの時間を過ごし、いまも過ごしている筆者ですら、試乗中、いささかとはいえ、内心、悪いことをしているという後ろめたさを自分のなかに感じたこともまた確かだった。実際、レースモードはあまり使わなかった。スポーツモードを選ぶだけで、パワーに厚みが加わり、ピックアップはよくなるのに、あえてノーマルのままでほとんどを過ごした。

気候変動が現実のものとなりつつある。ではなくて、いま、すでに現実である、という認識がある。これが現代科学の過ちであればよいけれど、どうやらそうではないらしい。そして、必ずしも自動車の電動化は善ならず。再生可能なエネルギーが伴わなければ、世界はハッピーにならないことは自明なのに、電動化のみがひとり歩きし始めている、ように筆者には思える。

2021年1月14日に発表されたルノーの中長期計画「ルノリューション」によると、ルノースポールはアルピーヌのブランドのもとで統一する。ルノースポールは、公道用のスポーツカーを開発するルノースポールカーズと、F1を含むモータースポーツ活動と車両の開発を行うルノースポールレーシングからなっている。ちなみに前者は300人、後者は1200人が所属している。アルピーヌは新たに、100%エレクトリックのBセグメントのホットハッチとCセグメントのスポーツクロスオーバー、そして100%EVに置き換えた「A110」をロータスと開発する。

このプランが実行されれば、次のメガーヌR.S.はない。これでおしまいである。最新のメガーヌR.S.に試乗したというのに、筆者の心はいまいち躍らない。いまのうちに、最後のR.S.を買っておきましょう。という呼びかけを読者諸兄に申し上げてよいものかどうか。いよいよもって、むずかしい時代に私たちはいる。

(文=今尾直樹/写真=郡大二郎/編集=関 顕也)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4410×1875×1465mm
ホイールベース:2670mm
車重:1480kg
駆動方式:FF
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:300PS(221kW)/6000rpm
最大トルク:420N・m(42.8kgf・m)/3200rpm
タイヤ:(前)245/35R19 93Y/(後)245/35R19 93Y(ブリヂストン・ポテンザS001)
燃費:11.8km/リッター(WLTCモード)
価格:464万円/テスト車=487万8936円
オプション装備:ボディーカラー<オランジュ トニック メタリック>(16万円) ※以下、販売店オプション フロアマット(3万3000円)/エマージェンシーキット(3万1900円)/ETC車載器(1万4036円)
テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:2412km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(8)/山岳路(1)
テスト距離:377.9km
使用燃料:38.9リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:9.7km/リッター(満タン法)/9.1km/リッター(車載燃費計計測値)

[webCG 2021年4月19日の記事を再構成]

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