土いじりで癒やされる 菜園で目覚める“野生の本能” 

ガーデニングなどで土に触れることは、健康増進に役立つと言われている。認知症の患者にもなんらかの効果が見られたという研究結果があったり、数年前にはイギリスの大学の研究グループがマウスの脳を観察した結果、土中のバクテリアが、セロトニンを分泌するニューロンを活性化することを発見したり。この研究はアメリカの大学などでも行われており、ストレスワクチンの開発などが期待されているそうだ。

セロトニンは精神を安定させ気分を明るくしてくれるらしい。私の脳内でも出ているだろうか? いるだろう。今年もベランダに野菜のプランターが並んでいるのだから。

野菜を育てる土はふかふかしている。砂のように指の間からこぼれるようでは根が張れないし、保水力も弱い。黒々とした土を掌に載せ、軽く握ると程よく固まり、指の先で押した跡がくぼんで、種を植えるのにちょうどの大きさの穴ができたら、保水力、通気性、保肥性などを備えた良い土である。目には見えないがそこには微生物がワイワイしているはずだ。

農業を始めた当初、私は科学的研究のことなんて知らなかったが、とにかく田畑に出るのが楽しくて熱中していた。思いっきり土を耕したり穴を掘ったりしていると、いつもと違う動物的なエネルギーが体の中に湧き上がってくる感じがして、大人になって初めて自覚してしまった。自分の中にある野生の本能というものを。

田んぼが、畑が、私を呼んでいた。これって、野生の呼び声ならぬ、野菜の呼び声?

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