2021/5/19

〈女性〉刻々と変化するハートのカタチ

ブレゲ「クイーン・オブ・ネイプルズ 9825 “ハートエディション”」

クイーン・オブ・ネイプルズ 9825 “ハートエディション” ケース:36.5×28.45mm、18Kローズゴールド製、30m防水 駆動装置:機械式自動巻き、パワーリザーブ約 40時間 価格:548万9000円 世界限定28本

かのマリー・アントワネットはじめ、歴史上の多くの偉人女性が顧客台帳に名を連なることが証明する通り、名門ブレゲは昔からレディースウォッチも至高の逸品ぞろい。中でもよりスペシャルなモデルを求めるのなら、今は「クイーン・オブ・ネイプルズ 9825 “ハートエディション”」がおすすめだ。

もともと「クイーン・オブ・ネイプルズ」は、ナポリ王妃カロリーヌ・ミュラのオーダーにより1810年に考案されたブレゲ初の腕時計「No.2639」から着想を得て2002年に生まれたコレクション。優美なオーバルケースを特徴とするが、今作ではその独特なケース形状を生かしたじつにユニークな機構を搭載している。

扇形の小窓が「時」、そしてその下にあるハートが「分」を示すのだが、問題はこのハートの分針だ。2本の独立したアームから成っており、オーバルな文字盤に沿って絶えずハートのフォルムを変えながら移動していく。すなわちダイヤルの上半分を移動するときはカーブが長く伸び、下の位置ではより丸みを帯びた形になるのだ。ちなみにブレゲはこの革新的な機構により4つの特許を取得したそうだ。

ダイヤモンドをダイヤルとベゼルのほか、ストラップのバックル部にもセットするなど装飾も非常にゴージャス。自分が楽しむだけでなく、家宝として代々受け継いでいくにふさわしい時計である。

独立経営を守るジュウ渓谷の至宝「オーデマ ピゲ」

時計ブランドには他ブランドとの合併を経たり、あるいは大きな資本グループの傘下になったりしながら今に至るところが多い。その点オーデマ ピゲは二人の天才時計師によって1875年に設立されて以来、創業者一族による経営を保ってきた稀有(けう)なブランド。この独立独歩の歴史にひかれる企業経営者は多いだろう。

複雑機構にたけ、世界初の自動巻きトゥールビヨンを手掛けるなど高度な技術力で知られる一方、デザインでも時計界をけん引し、なかでも1972年に誕生した「ロイヤル オーク」は、ラグジュアリー・スポーツウォッチ分野を切り開いた名作として知られる。

ここではそのロイヤル オークの新作から男女向けに1本ずつセレクト。もとからおしゃれなエグゼクティブに着用者の多いシリーズだが、とりわけ“格”を感じさせるモデルをお探しなら要チェックだ。

〈男性〉最新鋭のクロノグラフムーブメント搭載

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク クロノグラフ」

ロイヤル オーク クロノグラフ ケース:41mm、18Kピンクゴールド製、50m防水 駆動装置:機械式自動巻き、パワーリザーブ約 70時間 価格:500万5000円

人気を背景に多彩なラインアップを誇るロイヤル オーク。なかでも企業のトップにご紹介したいのがご覧の新作クロノグラフだ。ピンクゴールドケースとレザーストラップの組み合わせで一層ドレッシーに見せつつ、クロノグラフ搭載機ならではの力強さをしっかり感じさせるところがいい。

もっとも、ファンなら従来よりこの組み合わせの「ロイヤル オーク クロノグラフ」が存在することをご承知だろう。ただ細部を注意深く観察すると違いがわかる。各インダイヤルや日付表示がわずかにベゼル寄りになったほか、左右の積算計の位置が入れ替わっているなど、微妙に異なるフェースとなっているのだ。

というのも、今作が搭載するムーブメントは以前から展開されるクロノグラフモデルとは別物で、19年に「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」でデビューした最新の自社製の一体型クロノグラフ、Cal.4401を積む。コラムホイールや垂直クラッチを装備する高級機ならではの凝った構造で、クロノグラフ計測を一旦リセットする手間なく瞬時に再計測できるフライバック機構まで搭載している。もちろんその精緻な構造はシースルーバックから視認可能だ。

伝統を守りつつ進化をやめない、そんなオーデマ ピゲの時計作りの姿勢がよくわかる1本である。

〈女性〉エレガントで知性的なダイヤ巻きの34mm

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オートマティック」

ロイヤル オーク オートマティック ケース:34mm、SS製、シースルーバック、50m防水 駆動装置:機械式自動巻き、パワーリザーブ約 50時間 価格:286万円

ロイヤル オークにはクオーツ搭載の華奢なレディースモデルもラインアップされるが、ゼンマイと歯車のみで時を刻む機械式のほうを好む女性も多いだろう。そんな方におすすめなのがこちらだ。ロイヤル オークは1972年の誕生以来さまざまなバリエーションが作られてきたが、昨年初めて3針の自動巻き搭載機で最小となる34mmサイズが登場(従来は37mm、39mm、41mmの3サイズ展開)。これはそのベゼルにダイヤモンドをセットしたバージョンで、コンパクトなサイズ感と相まって、時計デザインの巨匠ジェラルド・ジェンタが手がけたデザインの美しさが一層濃密に香る。

また普段のビジネスでダイヤ巻きの時計をすることに抵抗を感じる方もいるかもしれないが、今作はご覧の通り華美になりすぎない絶妙なバランス。ソリッドかつシャープな造形とブルーグレーのタペストリーダイヤルにより、知性的な雰囲気もしっかり演出してくれる。むろん人気のロイヤル オークゆえ、時計好きな仕事相手との会話も弾むはず。狙う価値大のモデルだ。

(ライター 吉田巌:十万馬力)

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