「非日常的な体験」が店で食べる意味

――佐藤さんはクライアントへの丁寧なヒアリングを通じてブランディングプランを立てると聞きます。くら寿司のブランド価値の核をどう捉えられましたか。

佐藤「『おいしさ』と『楽しさ』です。くら寿司の強みはおいしいものを安く提供することだと考えていたのですが、それだけではないと。『楽しさ』がないとおいしいと感じないと田中社長から伺って、非常に面白いなと思いました。特にこの時世、おいしさと安さだけでは、何も店で食べなくともテークアウトすれば済んでしまうんですよね。楽しさを通じて非日常な体験をすることで、『おいしい思い出』になるんです」

のれんを用いたくら寿司初の「半個室」で、ゆったりと過ごしつつエンターテインメント性も感じられる店内
箸やしょうゆなどは机の中に収納でき、衛生面にも気を配っている

――ウィズコロナ/アフターコロナにおける外食産業について考えを聞かせてください。

佐藤「繰り返しになりますが、コロナ禍においてテークアウトが根付き、外食が選ばれるには、よりはっきりとしたコンセプトが必要になりました。エンターテインメント性だったり、心地よさだったり、非日常な空間の体験がないと、お店で食べる意味がなくなってしまう。そういった意味で、グローバル旗艦店は2店とも、海外の人が一目見て『ザ・日本』を感じるような『こうあってほしい』すし屋にするという明確なコンセプトを持って手掛けました」

白木の清潔感と、裸電球の落ち着いた光が心を和ませる

佐藤氏とのタッグにより、日本色を強く打ち出したグローバル旗艦店に注力するくら寿司。同社は20年、東京オリンピック・パラリンピックの開催予定を日本の文化と和食が世界に再注目されるこの機会とし、20年を「第二の創業期」と位置付けた。

図らずも東京五輪は延期となったものの、今後、コロナ禍の収束により訪日外国人観光客の復活が予測される。第二の創業期にふさわしく、回転ずしの魅力を海外にも広めるため、国内のみならず、海外での出店も加速する。

(ライター 北川聖恵、写真提供 くら寿司)

[日経クロストレンド 2021年5月6日の記事を再構成]

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