くら寿司、道頓堀に旗艦店 提灯ウォールでエンタ演出

2021年4月22日にオープンしたグローバル旗艦店2号店「くら寿司 道頓堀」。LEDのちょうちんが壁面に並ぶ「提灯(ちょうちん)ウォール」が目を引く
日経クロストレンド

大阪・道頓堀に2つ目のグローバル旗艦店をオープンした回転ずしチェーンのくら寿司。コンタクトレス・タッチレスなシステム導入に着手し、国内外の出店を強化している。同社の田中信副社長にグローバル戦略や衛生対策について、内装など手掛けるクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏にグローバル旗艦店のブランディングについて聞いた。

非接触型サービスはコロナ感染拡大前から計画

――海外店舗の人気や成功の要因は何でしょうか。

田中信副社長「回転ずしというフォーマットが世界に通用するビジネススタイルであるということ。食べ物が流れてくるというワクワク、ドキドキ感は世界共通です。それに加え、食べた皿の枚数によってチャレンジでき、当たると景品がもらえるゲーム『ビッくらポン!』や直接手を触れないすしカバー『鮮度くん』といったテクノロジーの導入、てんぷらやラーメン、ハンバーグなど『いったい何屋なんだ』と言われるほど多彩なメニューの展開、家族が語り合って食べられるように回転ずし店で初めてE字型レーンを導入したことなど、くら寿司の精力的なチャレンジが実を結んでいると思います」

くら寿司の田中信副社長
くら寿司のエンターテインメント性を象徴する「ビッくらポン!」は、グローバル旗艦店でも

――2019年7月に米・ナスダック市場に、20年9月に台湾証券取引所・タイペイエクスチェンジ(TPEx)に現地子会社がそれぞれ上場しています。現地での上場にこだわるのはなぜですか。

田中「まずは現地採用の従業員の生活の安定を図るためです。利益を得るだけではその地に根付かない。創業以来、地域のお客様を大切にするという経営方針を保ってきました。その土地土地に利益を還元することで真に愛される存在になれると考えています。資金調達の面でも優位性があり、今回の新型コロナウイルス禍での出店加速も現地に資金があったおかげで非常にスムーズに進められました」

――4カ国目の出店は台湾に続きアジアだそうですね。

田中「もともと上海に出店が決まっていたのですが、コロナ禍の影響で白紙になったので、アジア圏で再度計画を立てているところです」

――感染防止対策について。2011年から衛生面への配慮で導入している鮮度くんは、感染防止対策としても海外で評価されています。

田中「もともとすしカバーはあったのですが、触ると手あかなどの汚れが付いてしまう。そこで10年ほど代替となるものを研究している中、飛沫感染も食中毒の原因となると聞いた社長(田中邦彦社長)が開発を急いだ。お客様からも裸のままで回るすしに対する衛生面での懸念を伺っていたので、スピードを上げた結果、触れずにお皿が取れる仕組みを開発しました。空気穴を開けることでニオイがこもるのを防いでいます」

「入店予約から注文までスマホででき、タッチレスで会計もできる非接触型サービス『スマートくら寿司』の導入は、新型コロナの感染拡大以前から計画していました。感染拡大してから手を着けていたのでは間に合わない」

直接手を触れない寿司カバー「鮮度くん」
空中で操作できるため画面には触らない

――アフターコロナで外食産業が必要とする変化は何でしょうか。

田中「変化というより需要の見直しが必要です。当社が大切にしている(うま味調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料の)添加物を一切使わないことや、スマートくら寿司もそうですが、本当にお客様が求めているものをかなえるのが必要な時代です」

「外食産業はFL、つまり『Food(原価) and Labor(人件費)』をいかに抑えるか、『削る』作業が焦点になりがちですが、本来はみんなが喜ぶことを追求していかなければならないのです。スマートくら寿司も人件費削減ではなく、セルフ会計していただいている間に従業員がテーブルを消毒できるなど、効率アップにも貢献する仕組みです」

――グローバル旗艦店をオープンした狙いを教えてください。また、インバウンド集客ができない中、浅草ROX店への反応はいかがですか。

田中「和食や日本文化の発信の場であると同時に、お客様同士も楽しめるCtoCの空間を目指しています。今は子供たちが公園などで知り合ってそのまま一緒に遊ぶ、といった交流が難しくなっています。子供同士が楽しめる場をつくり、ファミリーにとって思い出となる時間を提供したい」

「浅草ROXはおかげさまで地域の方を中心に大変人気があり、コロナ禍でも(業績の)下がり幅が少なく、リピート率も高いです」

浅草ROX店にのみある射的場。ビッくらポン!で当たると利用券が入っている

――今後もグローバル旗艦店は増やす予定ですか? また今後のグローバル展開についても教えてください。

田中「はい、旗艦店はどんどん増やしていきます。グローバル展開としては、将来的に欧州なども視野に入れ、現地の料理も流していきたいと考えています。フォアグラやエスカルゴがレーンに乗って流れてくる日が来るかもしれません。(笑)」

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