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くら寿司、道頓堀に旗艦店 提灯ウォールでエンタ演出

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日経クロストレンド

大阪・道頓堀に2つ目のグローバル旗艦店をオープンした回転ずしチェーンのくら寿司。コンタクトレス・タッチレスなシステム導入に着手し、国内外の出店を強化している。同社の田中信副社長にグローバル戦略や衛生対策について、内装など手掛けるクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏にグローバル旗艦店のブランディングについて聞いた。

非接触型サービスはコロナ感染拡大前から計画

――海外店舗の人気や成功の要因は何でしょうか。

田中信副社長「回転ずしというフォーマットが世界に通用するビジネススタイルであるということ。食べ物が流れてくるというワクワク、ドキドキ感は世界共通です。それに加え、食べた皿の枚数によってチャレンジでき、当たると景品がもらえるゲーム『ビッくらポン!』や直接手を触れないすしカバー『鮮度くん』といったテクノロジーの導入、てんぷらやラーメン、ハンバーグなど『いったい何屋なんだ』と言われるほど多彩なメニューの展開、家族が語り合って食べられるように回転ずし店で初めてE字型レーンを導入したことなど、くら寿司の精力的なチャレンジが実を結んでいると思います」

――2019年7月に米・ナスダック市場に、20年9月に台湾証券取引所・タイペイエクスチェンジ(TPEx)に現地子会社がそれぞれ上場しています。現地での上場にこだわるのはなぜですか。

田中「まずは現地採用の従業員の生活の安定を図るためです。利益を得るだけではその地に根付かない。創業以来、地域のお客様を大切にするという経営方針を保ってきました。その土地土地に利益を還元することで真に愛される存在になれると考えています。資金調達の面でも優位性があり、今回の新型コロナウイルス禍での出店加速も現地に資金があったおかげで非常にスムーズに進められました」

――4カ国目の出店は台湾に続きアジアだそうですね。

田中「もともと上海に出店が決まっていたのですが、コロナ禍の影響で白紙になったので、アジア圏で再度計画を立てているところです」

――感染防止対策について。2011年から衛生面への配慮で導入している鮮度くんは、感染防止対策としても海外で評価されています。

田中「もともとすしカバーはあったのですが、触ると手あかなどの汚れが付いてしまう。そこで10年ほど代替となるものを研究している中、飛沫感染も食中毒の原因となると聞いた社長(田中邦彦社長)が開発を急いだ。お客様からも裸のままで回るすしに対する衛生面での懸念を伺っていたので、スピードを上げた結果、触れずにお皿が取れる仕組みを開発しました。空気穴を開けることでニオイがこもるのを防いでいます」

「入店予約から注文までスマホででき、タッチレスで会計もできる非接触型サービス『スマートくら寿司』の導入は、新型コロナの感染拡大以前から計画していました。感染拡大してから手を着けていたのでは間に合わない」

――アフターコロナで外食産業が必要とする変化は何でしょうか。

田中「変化というより需要の見直しが必要です。当社が大切にしている(うま味調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料の)添加物を一切使わないことや、スマートくら寿司もそうですが、本当にお客様が求めているものをかなえるのが必要な時代です」

「外食産業はFL、つまり『Food(原価) and Labor(人件費)』をいかに抑えるか、『削る』作業が焦点になりがちですが、本来はみんなが喜ぶことを追求していかなければならないのです。スマートくら寿司も人件費削減ではなく、セルフ会計していただいている間に従業員がテーブルを消毒できるなど、効率アップにも貢献する仕組みです」

――グローバル旗艦店をオープンした狙いを教えてください。また、インバウンド集客ができない中、浅草ROX店への反応はいかがですか。

田中「和食や日本文化の発信の場であると同時に、お客様同士も楽しめるCtoCの空間を目指しています。今は子供たちが公園などで知り合ってそのまま一緒に遊ぶ、といった交流が難しくなっています。子供同士が楽しめる場をつくり、ファミリーにとって思い出となる時間を提供したい」

「浅草ROXはおかげさまで地域の方を中心に大変人気があり、コロナ禍でも(業績の)下がり幅が少なく、リピート率も高いです」

――今後もグローバル旗艦店は増やす予定ですか? また今後のグローバル展開についても教えてください。

田中「はい、旗艦店はどんどん増やしていきます。グローバル展開としては、将来的に欧州なども視野に入れ、現地の料理も流していきたいと考えています。フォアグラやエスカルゴがレーンに乗って流れてくる日が来るかもしれません。(笑)」

佐藤可士和氏「浮世絵モチーフに浪速の祭りを表現」

グローバル旗艦店1号店の浅草ROX店に続き、2号店である道頓堀店の内装も手掛けたのが、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏だ。浅草ROX店は「お祭り、縁日」がテーマ。白木で清潔感あふれる店内には高い天井を生かした「やぐら」や射的場など、一目で日本らしさが伝わる内装に仕上げた。その独創性の高い内装は、20年4月に施行した改正意匠法による意匠登録第1号に認定された。道頓堀店について話を聞いた。

――道頓堀店は、浅草ROX店と同じ「観光と食(SightEating)」のコンセプトを引き継ぎつつ、大阪・道頓堀の地域性を生かした「浪速の祭り」をテーマにアレンジを加えたそうですね。

佐藤可士和「浅草ROX店の構想は歌川広重の浮世絵に着想を得ました。すしの屋台の近くに、てんぷらやおだんごなど他の食べ物の屋台も並び、道化者もいる。自由に買っては楽しんでいるにぎわった江戸の大衆文化が表現されていて、『まさにくら寿司が現代でやっているのはこの世界観だ』と思ったのです」

「そのにぎわいを表すテーマとしては、祭りや縁日がぴったりでした。店内は天井が高いため、それを生かしてやぐらを組みました」

「道頓堀店でも五雲亭貞秀の浮世絵『浪速天満祭』をモチーフに祭りらしさを表現しました。浅草ROX店ほど天井の高さがなかったので、白木を平行に組んでやぐらを"切り出し"ました。また、浅草では射的場を設けたのですが、道頓堀ではその広さがなく、屋台を置くために座席数を減らせば売り上げに影響が出るため、(発光ダイオード(LED)を仕込んだちょうちんを壁面に並べた)『提灯ウォール』でエンターテインメント性を演出し、フォトスポットにしました」

――フォトスポットは店舗の要素として重要ですか。

佐藤「はい。浅草店でSNS(交流サイト)での評判を見て来店する人の多さを実感しました。提灯ウォールも人を入れて写真を撮ってみると、最初は逆光で顔の写りが良くなかったのですが、光を調整したりライトを増設したりして、誰が撮ってもキレイに写るようにしました」

「非日常的な体験」が店で食べる意味

――佐藤さんはクライアントへの丁寧なヒアリングを通じてブランディングプランを立てると聞きます。くら寿司のブランド価値の核をどう捉えられましたか。

佐藤「『おいしさ』と『楽しさ』です。くら寿司の強みはおいしいものを安く提供することだと考えていたのですが、それだけではないと。『楽しさ』がないとおいしいと感じないと田中社長から伺って、非常に面白いなと思いました。特にこの時世、おいしさと安さだけでは、何も店で食べなくともテークアウトすれば済んでしまうんですよね。楽しさを通じて非日常な体験をすることで、『おいしい思い出』になるんです」

――ウィズコロナ/アフターコロナにおける外食産業について考えを聞かせてください。

佐藤「繰り返しになりますが、コロナ禍においてテークアウトが根付き、外食が選ばれるには、よりはっきりとしたコンセプトが必要になりました。エンターテインメント性だったり、心地よさだったり、非日常な空間の体験がないと、お店で食べる意味がなくなってしまう。そういった意味で、グローバル旗艦店は2店とも、海外の人が一目見て『ザ・日本』を感じるような『こうあってほしい』すし屋にするという明確なコンセプトを持って手掛けました」

佐藤氏とのタッグにより、日本色を強く打ち出したグローバル旗艦店に注力するくら寿司。同社は20年、東京オリンピック・パラリンピックの開催予定を日本の文化と和食が世界に再注目されるこの機会とし、20年を「第二の創業期」と位置付けた。

図らずも東京五輪は延期となったものの、今後、コロナ禍の収束により訪日外国人観光客の復活が予測される。第二の創業期にふさわしく、回転ずしの魅力を海外にも広めるため、国内のみならず、海外での出店も加速する。

(ライター 北川聖恵、写真提供 くら寿司)

[日経クロストレンド 2021年5月6日の記事を再構成]

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