同社では社員がGRITを伸ばし成長するのをサポートすべく、今年から新たな人事制度も取り入れた。

「本でも書かれているように、ゴール設定が重要なので、全社員が自分でゴールを設定し書き込めるシステムを導入しました。本人はもちろん上司もいつでもそれを見て、サポートします。一人一人のゴールは、会社や部門が掲げる目標と方向性が合ってさえいれば、どんなものでも構いません」

女子学生向けセミナーでは『LEAN IN(リーン・イン)を薦めているという

同社には以前から、新入社員から経営トップまで全員が上司、部下、同僚から評価を受ける360度評価制度があるが、今後はゴールの設定、進捗について上司との定期的な対話を通じて、個人の成長をさらに促していく考えだ。

外資系金融機関は激務と言われるが、同社の社員はいつ、どのような形で自己研さんをしているのか。上田さんによれば「本を読んでいる人は多い」。同社のホームページには、経営幹部がそれぞれのおすすめの本を紹介するコーナーもある。特に外国人社員は、海外の大学で授業前に大量の課題図書を読まされ慣れているのか、分厚い本を平気で何冊も読んでいることも珍しくないという。

「金融の専門書より、いわゆる教養系が多い印象で、少し前だと『ファクトフルネス』や『サピエンス全史』などが社内でも話題になっていました」

女子学生に薦める「LEAN IN」

上田さんが個人的に、女子学生対象の就活セミナーで『やり抜く力 GRIT』と共に薦めるのは、米フェイスブックCOO(最高執行責任者)のシェリル・サンドバーグ氏の著書『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』だ。入社以来27年間、同社で働き続けている上田さんは学生から「女性も結婚後に仕事を続けられるか」と聞かれることも多いが、その度に「どんなパートナーを選ぶかによる」と答えてきた。

「LEAN INにはパートナー選びのことを含め、就活中の女子学生のヒントになることがたくさん書かれています」

本以外では、ゴールドマン・サックスが制作する音声配信のポッドキャストや動画のコンテンツを利用して学び続ける人も多いとか。時事問題やマーケットの状況について、社員が解説するもので、どちらも社外にも公開されており、誰でも視聴できる。数分から15分程度と短いため、空き時間に気軽に聞けるのがメリットだ。4月にはポッドキャストで上田さんを含む日本法人の社員3人が「日本のLGBTQをめぐる最近の動き」について話し、11万回以上再生された。

気をてらわず、書籍をはじめ、身近にあるさまざまなコンテンツを活用しながら、日々、目標に向かって泥臭く努力を続けること。ゴールドマン・サックス流の成長術は、意外なほど地道で堅実だった。

(ライター 石臥薫子)

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

著者 : アンジェラ・ダックワース
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 1,740 円(税込み)

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