ゴールドマン・サックス流の成長術 やり抜く力を重視

ゴールドマン・サックス証券取締役人事部長の上田さん
ゴールドマン・サックス証券取締役人事部長の上田さん
人気企業・注目企業が新人教育で使ったり、新入社員に推薦したりしている書籍と、各社の人材育成戦略を取り上げるシリーズ「社会人1年目の課題図書」。第2回はゴールドマン・サックス証券です。

外資系金融機関の中で、難関大学の就活生にとりわけ高い人気を誇るゴールドマン・サックス証券(GS)。同社が、新人を含めた社員全員に推薦しているのは『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』だ。

著者は、米ペンシルベニア大学教授のアンジェラ・リー・ダックワース博士。様々な分野で大きな成果を残した人たちの成功の要因を、長年研究してきた心理学者だ。偉業を達成するには、実は才能よりも、『やり抜く力』が重要であることを科学的に突きとめ、米国で通称「天才賞」として広く知られる「マッカーサー・フェローシップ賞」を受賞。同著はその研究成果をまとめたもので、2016年の発刊直後から世界中でベストセラーになった。

『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』
著:アンジェラ・リー・ダックワース
出版:ダイヤモンド社
著者は中国系移民の子として米国で育ち、ハーバード大からマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。その後公立中の教師に転じ、心理学者になった。「大きな成果をあげた人の多くは、必ずしも才能に恵まれていたわけではない。成功には才能の優劣よりも、努力を継続し続ける力=『やり抜く力』が決定的な影響を及ぼす」と主張。アメリカの教育・スポーツ・ビジネス界に衝撃を与え、オバマ元大統領も演説の中でたびたび言及した。

「tenaciously」粘り強さが評価される社風

ゴールドマン・サックス証券取締役人事部長の上田(こうだ)彰子さんは言う。

「この本は話題になってすぐ、当社の幹部には一人一冊、支給されました。さらにグローバルの役員が集まる会合でダックワース博士に講演していただいたのです。博士が主張する、情熱を持って粘り強くやり抜く力の重要性は、当社が事業を進めていく上で大切にしてきたことと見事に合致しています。日本法人社長の持田昌典も『これぞ、自分が常日ごろから感じてきたことだ』と感銘を受け、以来、さまざまな機会にこの本のことを話題にするようになりました。新入社員にも2017年ごろから社長が入社式で薦めています」

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