コンパクトさ、使いやすさ、メンテナンスフリーがポイント

―― アイテムを一つひとつ市販品から選び、セットを組んだとのことですね。私たちが、家にあるものを使ったり、自分で買い集めたりして防災ポーチを作る上で注意すべき点を教えていただけますか。

森下 かさばったり重かったりすると子どもは嫌がります。ランドセルのポケットに入るサイズを目安にして、コンパクトで軽いことにこだわったほうがいいと思います。

また、防災ポーチは、一度子どもに渡したら、被災しない限り数年間ランドセルに入れっぱなしになる可能性もあります。そのためできるだけメンテナンスフリーであることにも気を付けたいですね。

―― 防災ポーチでメンテナンスが必要とはどういうことでしょうか。

森下 例えば、もしも懐中電灯を入れると、数年後に電池切れになっている恐れがあります。いざというとき電池切れでは、持たせる意味がないですよね。でも、私自身、定期的に電池をチェックできる自信がありませんでした。

さらに、子どもが1人で使えるかどうかも重要な視点です。例えば手を清潔にするアイテムは、ジェルやウエットティッシュなどいろいろあります。今回はアルコールアレルギーの子に考慮してまず5種類くらいに絞りました。その中から、当時小2だった息子に実際にパッケージを開けてもらって、子どもが1人でも使えるものを選びました。

防災ポーチに入れるべき11アイテムを詳しく解説

先に挙げた6つのカテゴリーに当てはまるアイテムとして、どんなものを選ぶとよいのでしょうか。森下さんたちが作ったポーチを例に聞きました。

1.「サイリュームライト」…照明に関するアイテム

「停電時や夜に暗いと心細いので照明に関するアイテムは入れたほうがよいと思います。サイリュームライトはポキッと折ると発光します。熱くならないので子どもが持っても安心です。今回選んだものは、8時間発光します。保存期間も5年間と長いので、メンテナンスの頻度が減らせます」

2.「連絡セット」…情報に関するアイテム

「親や自宅の電話番号や、自宅以外の集合場所を書いたメモと公衆電話用の小銭をセットで持たせておくと安心です。100円玉を数枚入れておくといいですね。お金を持って行ってよいかは学校にもよるので確認しましょう。最近は公衆電話を使ったことがない子も多いので、あらかじめ教えておくとよいでしょう。家族との集合場所は口頭で言っておいても、数年たつと忘れてしまうかもしれないので、メモに記入しておいたほうがよいです。今回作成したセットには、連絡先を書くメモの裏に電話のかけ方や、災害伝言サービスの使い方も書きました」

3.「非常用トイレ」…衛生に関するアイテム

「非常用トイレはいろいろなものが市販されています。ポーチに入れるためにはコンパクトなものがお薦めです。非常用トイレを使ったことがない子が多いので、事前に使い方を説明しておきましょう。私たちが作ったセットでは、トイレだと分かるようにシールを貼り、裏に使い方をひらがなで書いた紙も貼りました」

4.「清浄綿」

5.「子どもサイズのマスク」

6.「ばんそうこう(大小サイズ)」…衛生に関するアイテム

「手を清潔にするグッズはジェルやシートなど、いろいろあります。子どもが使いやすいものを選びましょう。今回作ったセットではアルコールアレルギーの子に配慮し、清浄綿を入れています。ほこりっぽい場所や乾燥している場所のときのために、子どもに合うマスクもあると安心です。コロナ下では予備マスクとしても利用できます。けがをしてしまったときのためにばんそうこうも入れておくとよいですね」

7.「臭いを遮断する力が強い袋」…衛生に関するアイテム

「使用済みの非常用トイレを入れたり、気分が悪くなったときのための袋も必要です。私たちは防臭性能の高い『BOS(ボス)』という商品を選びました。汚物を入れる可能性もあるので、中が見えない色付きのものがお薦めです。非常時でないときに、ぬれたものを入れることもできて便利です」

8.「使い捨てカイロ」

9.「アルミのポンチョ」…暖に関するアイテム

「停電で暖房が切れてしまったときや、屋外で被災したときのために寒さ対策のアイテムが必要です。ブランケットではなく、ポンチョにすると両手があくので、荷物を持つなど他のことができます。今回のセットで選んだポンチョは、大人も使える大きめサイズです。万が一屋外でトイレを使用する際に目隠しとしても使えます。フードが付いていてレインコート代わりにもなります。被災時はシャカシャカとした音を耳障りと感じる人もいるので、音があまりしない静音タイプがよいでしょう」

10.「うちわ」…冷に関するアイテム

「熱中症対策にあおげるものを入れておくとよいでしょう。セットではオリジナルのうちわを入れました。1人で頑張っている子どもへ励ましのメッセージや、「間違い探し」を印刷し、気晴らしができるようにしています」

11.「氷砂糖」…食に関するアイテム

「甘いものはエネルギー補給、気分転換になります。アメでもよいのですが、賞味期限があるので時々入れ替えが必要になります。メーカーに問い合わせたところ、砂糖は賞味期限がないということだったので、私たちが作ったセットでは氷砂糖を入れることにしました」

森下さんは上記の11アイテムを小さなポーチに収納して販売している。ポーチの大きさは18×13センチでランドセルのポケットに入るサイズ。重さも約145グラムと軽い
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ポーチをきっかけに被災するかもという心構えを持とう