先進企業に入社、3年目で破綻も残った理由 S高校長吉村総一郎・S高等学校校長(下)

インターネットを活用した通信制の「N高等学校(N高)」を運営する角川ドワンゴ学園が2021年4月1日に茨城県つくば市に開校した「S高等学校(S高)」校長の吉村総一郎氏(38)。広島大学付属高校(広島市)から東京工業大学大学院を修了し、ITエンジニアとして活躍したが、就職先の先進企業が経営破綻するなど挫折も経験した。波瀾(はらん)万丈のキャリア人生を歩んだ。

東工大大学院を修了して就職したインクス(現SOLIZE)が入社3年目の2009年、民事再生法の適用を申請した。

「まさか、こんな先進企業が破綻するなんて」。そのときの実感です。この会社は普通のメーカーではありませんでした。3次元CAD(コンピューターによる設計)などデジタル技術を駆使し、携帯電話機などの精密金型を高速製造し、金型産業の革命児と呼ばれたものづくりベンチャーでした。

1990年に創業、世界に先駆けて3Dプリンターを使った試作品の受注生産を開始。「メイカーズ革命」を担う先進企業として注目され、急成長していました。グループを含めると社員は1500人近くいた。新入社員の頃は皇居が望める新丸ビルの豪華オフィスでエンジニアとして業務を担っていました。仕事は面白くて何日も徹夜をし、製品設計の支援業務を手掛けました。それがリーマン・ショックなどのあおりを受け、突然破綻しました。

衝撃的でしたね。野心的な試みが次々失敗し、金融面の問題を起こし、破綻に追い込まれたのです。しかし、画期的な技術を持っていたし、トップクラスの大学から優秀な人材が集まっていた会社でもありました。

もともと東工大では生命工学を専攻した。

同期の仲間の大半は大手の製薬や医療機器のメーカーに入社しました。金型関連のものづくりベンチャーという選択は珍しかったのですが、そこは私ならではの理由があります。

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