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今やラジオは時間も場所も選ばないメディアになった(写真はイメージ) =PIXTA

今やラジオは時間も場所も選ばないメディアになった(写真はイメージ) =PIXTA

国内ラジオ局の古参、文化放送が2022年3月31日に開局70周年を迎える。私が新卒で入社し、長く籍を置いた古巣だ。4月からはアニバーサリーイヤーの企画がいろいろと始まっている。私が入社したのは1973年だから、もう48年も昔。せっかくの節目なので、当時の思い出を振り返りつつ、仕事を通した学びの価値を考えてみたい。

文化放送がフジサンケイグループに属していると、知らない人もいるようだ。フジテレビジョン、産業経済新聞社などと同じメディアグループに名を連ねている。ちなみに、ラジオ局のニッポン放送も同グループのラジオ局だ。

ちなみに、ニッポン放送が本放送を始めたのは54年のことで、52年に開局した文化放送より約2年遅い。フジテレビの本放送開始は59年のことで、さらに後の話だ。フジテレビを立ち上げるにあたっては、先行していた文化放送がいろいろと手を貸したと聞く。この先に述べる話も含めて、どれも昔の話であり、詳細は不明だが、当時の文化放送内ではそういわれていたということでご理解願いたい。

こういった歴史的な経緯があったのに加え、ラジオ業界に勢いがあったことも手伝って、当時の文化放送は、今とは雰囲気が違っていたようだ。その雰囲気が私の進路を決めた。

入社試験ではフジテレビと文化放送の両方から、ほぼ同じタイミングで入社試験の合格通知を受けた。両者を天びんにかけたわけではないが、最終的には文化放送を選んだ。

決め手になったのは、文化放送のアナウンス部長(当時)の存在だ。両社のどちらに入社するかを決めかねていた私に、彼がささやいた言葉が忘れられない。

部長「君のご両親は、君が同じ業界の親会社へ行くことを喜ぶか、子会社へ行くことを喜ぶか、どっちだと思う?」

梶原「うーん、親会社のほうですかね」

部長「そうだろ、親が安心するのは親会社。うち(文化放送)はフジテレビの親会社のようなもので、向こうはいわば子会社の立場だ」

誤解のないように言い添えておきたいが、フジテレビは文化放送の子会社ではない。この言葉はあくまでも当時の部長の言い分。ただ、フジテレビの設立に際して、文化放送から人手を割いたことから、フジテレビを一種の「子会社」とみなす意識が文化放送の一部にあったと思われる。フジサンケイグループでの立ち位置も、当時の段階では歴史の長いラジオが上だった可能性がある。

部長「それに、君ねえ、テレビのアナウンサーなんて、『ご覧の提供でお送りしました』と言うぐらいしか、仕事がないんだよ。その点、ラジオは見ろ、うちの落合恵子、土居まさる、みのもんた、ああいうスターがフジテレビにいるか?」

梶原「いわれてみれば……」

部長「任せろ。俺がフジテレビにきちんと話を付けてやるから」

その後はトントン拍子で文化放送に入る道が開かれた。

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