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コロナ以降、目の乾きが進んだのはなぜ?

特にこのコロナ禍では、目の不調を訴える人も少なくないようだ。

――綾木医師「確実にドライアイの患者さんが急増していますね。私はこの5年間6000人の患者さんの目の乾き具合をデータ化していますが、コロナ禍の前後では『涙の量』が激変。コロナ禍以降、涙が平均13%減少し、目の保湿機能は平均23%減少していることが分かっています。涙と保湿機能の両方が正常で初めて目は潤いますので、『目の乾き具合の悪化』確定ですね」

原因はマスクだろうか?

――綾木医師「マスクのスキマから漏れる息が目を乾かしてしまうドライアイもあるでしょう。在宅勤務でのパソコン作業時間増加などによるまばたきの減少や目の疲れも原因のひとつ。さらに、環境の変化によるストレスで副交感神経の働きが低下し涙が減少するなど、コロナ禍で目が乾きやすくなる条件が増えているのは確かですね」

「目が乾きやすくなっている」ということは、「目が傷つきやすい」「きれいにすることができない」ということでもある。そのため、目が「ゴロゴロする」「かすみがち」「痛い」という典型的なドライアイ症状を招くことになる。自分でできる予防法はないのだろうか?

とても簡単! ドライアイ予防法

――綾木医師「効果的な方法が主に3つあります」

ドライアイ予防法
(1)「意識をして『まばたき』をする」=ワイパーのように目の表面のゴミを取り除き、涙で均一に目を潤わせる(「ドライアイや脳の働きも左右 まばたきの意外な役割」参照)

(2)つらくなったら「目を温める」=涙の蒸発を抑える脂分の分泌を改善し、目の潤いをキープする(「花粉症にドライアイ 目かゆくても冷却・水洗いはNG」参照)

(3)「20-20-20 ルール」=20分間目を使ったら20フィート(約6メートル)先を見て20秒目を休める

――綾木医師「『20-20-20 ルール』は、もともとアメリカの学会で提唱されてきた眼科医の世界では有名な疲れ目防止指導法です」

意識をすれば、この3つはすぐにでもできそうだ。

――綾木医師「『隠れドライアイ』も増えていますから、目に不調がなくても、普段から目のケアは心がけていただきたいですね。

もともと中高年女性に多い病気で、中高年の3分の1はドライアイ傾向があります。ところが最近では、男性や子供のドライアイも増加。もはや全国民がドライアイの危険にさらされていると言っても良いくらいですから」

「隠れドライアイ」は、どんな場合になりやすいのだろうか?

――綾木医師「長年、目の不調を放っておくと、誰でも『隠れドライアイ』に移行する危険があります。

発病当初や若い人は目が乾くと過敏になって『痛い』『乾く』と感じられますが、何年も続くと目の乾きも痛みも何も感じられなくなってしまうのです。ですから、痛みの自覚がない患者さんに『ドライアイですね』と診断すると、非常に驚かれます。でも、治療を進めていくうちに『目が楽になった』『自分がドライアイであることを初めて知った』『視界がクリアになった』という声とともに『体調もよくなった』と喜ぶ人も少なくありません。体調不良を感じたら、ドライアイの悪化も疑ってみてください」

どうやら、「目の乾き」による痛みを我慢することや目のケアに無頓着であることが「隠れドライアイ」の引き金になるようだ。

――綾木医師「ドライアイに関係するのは睡眠や気分障害にとどまりません。『肥満や糖尿病などの生活習慣病』もドライアイを悪化させる一因。運動をする人・しない人でもドライアイの発症率が違います」

体はつながっている、ということのようだ。

――綾木医師「『ドライアイ』と診断されたら、生活習慣を見直すサイン。逆に、体調に異変を感じたら、『隠れドライアイ』を疑って目の検査も受けてみてください。『目は健康のバロメーター』です」

そういえば、体調が良く健康だと、瞳は潤いきれいに見える。「ドライアイ」はさながら体からの「イエローカード」だ。

「目は健康のバロメーター」と心得て、毎朝鏡で顔をチェックした時に「瞳は潤っているか?」「見えづらくなっていないか?」「痛みがないか?」常に意識。「隠れドライアイ」にならないために、目の不調に敏感になることも大切な健康法なのかもしれない。

【体や心にも関係するドライアイ・ストレス解消のルール】

ルール1 目に乾きや痛みがなくても、「隠れドライアイ」の可能性あり。体や心の不調を感じたら、同時に涙の量が減っている可能性も疑うべし 

ルール2 涙の分泌をスムーズにするために、まばたきをしたり目を温めたりして目のケアを心がけるべし

ルール3 疲れ目対策「20-20-20 ルール」を日ごろから心がけるべし

(イラスト 斎藤ひろこ[ヒロヒロスタジオ])

綾木雅彦さん
おおたけ眼科つきみ野医院院長、慶應義塾大学医学部眼科学教室特任准教授。1982年慶應義塾大学医学部卒業後、米国ハーバード大学医学部留学。昭和大学医学部眼科准教授、国立病院機構埼玉病院眼科医長、国際医療福祉大学三田病院眼科准教授などを経て、現職。医学博士(慶應義塾大学)、日本眼科学会認定眼科専門医・指導医、日本抗加齢医学会専門医・評議員、睡眠健康指導士、アメリカ眼科アカデミー国際会員。
結城未来
エッセイスト・フリーアナウンサー。テレビ番組の司会やリポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーター、健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。農林水産省水産政策審議会特別委員でもある。

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