通常よりも耐水性能を高め、100m、200mといった高水圧の深海でも着用できるのがダイバーズウオッチです。たしかに潜水時間の管理などは普段の生活に必要ありませんが、こうした専門的な機能を突きつめ、研ぎ澄まされた「本物」のデザインこそが、このアイテムの魅力であるといえるでしょう。

大きさが物語る「軍用」のルーツ

ですから、モノ作りがトレンドに大きく左右されることはありません。パネライの現在のデザインが完成したのは50年代。それからほぼ70年間、変わることなく続いてきたサステナブルなデザインなのです。ダイバーズウオッチにはそうした「究極の機能美」が凝縮されています。

実はこの時計はしばらくの間、イタリア海軍のみを顧客として作られていたため、市中の人々が手に取る機会はありませんでした。一般の目に触れるようになったのは93年からです。お披露目された時には大いに話題を呼んだことでしょう。

プロフェッショナルなタイプがほしいなら「サブマーシブル」、普段使いしたいなら「ルミノール」と多彩なラインアップがそろっています。頑丈そうなフォルムが持ち味のパネライですが、神田さんによると「ビジネスシーンで着けるなら44mmはやや大きいかもしれません」。パネライらしい存在感も味わえる42mmがおすすめだそうです。

時計がバッグや服と異なるのは、自分を主張するアイテムという側面が強いこと。ダイバーの命を預かるメカならではの、本物だけが持つカッコよさが、人々の共感を誘うのかもしれません。

(Men's Fashion編集長 松本和佳)

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