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2021/5/21

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「1on1ミーティング」で一人ひとりと対話

テレワークでのコミュニケーション施策として伊藤さんが勧めるのは、「1on1ミーティング」だ。1on1ミーティングとは、マネジメントの管理者であるマネージャーやリーダーとメンバーが1対1で対話を持つ会議のこと。一方的に指示や評価をするような面談ではなく、メンバーが不安や迷いなどの思いを吐き出したり、成長を促したりする場である。緊急度は低いが重要なことも語りやすい。伊藤さんが世代リーダー開発を担当しているZホールディングスでは、8年前から取り入れている。

マネージャーやリーダーは「『話してよかった』とメンバーに思ってもらえるよう、聞く力や共感力が求められます。さらに大切なのは継続性。定期的に対話を続けることが重要で、頻度は1週間に1回、または2週間に1回がいいでしょう。それ以上間が空くと、仕事の記憶が薄れて前回の話の内容もぼやけてしまいます」

伊藤さんいわく1on1ミーティングは30分ほどが望ましいとのこと(写真はイメージ=PIXTA)

「僕の肌感ですが、テレワークがうまくいっていない会社はたいていこうしたミーティングを実施していません。その理由を聞くと『忙しくて時間がない』『やっても効果が上がらない』という声があります。

しかし、1on1ミーティングを活用できれば仕事の流れも良くなっている印象があります。部下のことをより知ることで、向いている業務を増やせたり適材適所な部署にできたりするかもしれません。忙しいという気持ちも分かりますが、このために時間を割くのは、むしろマネジメントをするうえで大事な仕事の一つだと思います」

リーダーシップを発揮するためのスキル

テレワークにおける大きな課題は「チームワークや一体感の欠如」。メンバーのメンタルヘルスに考慮しながら、効果的なリーダーシップを発揮するにはどのようなスキルが求められるのだろうか。

「一つはクリティカル・シンキングのスキルです。批判的思考とも呼ばれ、起きている事象を構造化し意思決定をするための論理的な考え方です。たとえば『物流クレームが増加しているが、どうすれば減らせるか?』という課題に対し、メンバーそれぞれに様々な解決策を持っています。もし論理的に理解できていないと、色々な意見に流されてしまい対策案がまとまりません。クリティカル・シンキングのスキルがあれば、『そもそもなぜクレームがあるのか』『クレームの根拠は何か』と事象を構造化し整理しつつ、メンバーの提案をまとめることで、対策の意思決定ができます。

さらに、メンバーへの期待やゴールを具体的に設定して成長を促すことも重要です。メンバーの状況や能力を把握し、期待値に対してどれくらいの開きがあるか明確にすると、その先の方法が見えてきます。もし期待値をはっきりさせないと、どこまで自分のミッションとして業務をやればいいのかメンバーが分からず、思い込みによる勘違いが発生し業務に支障をきたす場合も。期待値を設定する期間は1年や数カ月後など長期的ではなく、1~2カ月程度にし、こまめにフィードバックしながら進めていくとよいです」

伊藤羊一
Zホールディングス Zアカデミア学長/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長。日本興業銀行、プラスを経て2015年よりヤフー。現在Zアカデミア学長としてZホールディングス全体の次世代リーダー開発を行う。 またウェイウェイ代表、グロービス経営大学院客員教授としてリーダー開発を行う。2021年4月 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)学部長就任。代表作に50万部超ベストセラー「1分で話せ」。ほか、「1行書くだけ日記」「ブレイクセルフ」など。

(取材・文 松永怜)

[日経xwoman 2021年4月27日付の掲載記事を基に再構成]

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