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シメサバの握り。取材日は千葉・鴨川のサバを使用。口に入れると程よくネタとシャリが一体となる

研究熱心な新田さんは、キーワードによる録画機能がついたレコーダーで、「すし」を指定してテレビ番組を録画。「たまになぜかアニメとか入っちゃうんですよね」と頭をかく。「僕は温泉が好きなので、お湯につかりながらおすしのことを考えるんです。露天風呂に入り空を見ながら、もっとおいしいおすしのやり方はないかと考えていると、結構“降りて”くるんですよ」

白子焼き、真ダコのやわらか煮、あん肝ポン酢……

ネタが時価であるためメニューに値段表示がないすし店は多いが、同店のメニューは値段と共に黒板に書かれ、安心してオーダーできる。黒板は店の壁の高い位置に掲げられている。分かりやすいようにというだけでなく、「おいしいものを食べるときは、上を見上げて頼んだ方がわくわくするでしょう?」と考えてのことだ。

「真ダコのやわらか煮」。ユズがかかっていて爽やかな風味。「タコは神奈川・佐島のものがおいしいと思うので、手に入るときは佐島産を使っています」(新田さん)

「最初に修業したお店は地域の人に愛されているお店で、自分で店を出すときも街の人が気軽に訪れることができる店を目指した」と新田さんは言う。初めての店すし宗達は、30年以上続いたすし店の居抜き物件に開いた。「70歳ぐらいのご夫婦が営んでいたおすし屋さんだった場所で、お客さんとの楽しい思い出が詰まった店なんだろうなという気を感じた。カウンターの後ろに自分が立っているイメージがわいて、ここで独立しようと思ったんです」。店は自分の料理だけでなく、客の幸せな姿があってこそ成り立つという姿勢が伝わってくる言葉だ。

新田さんの店はつまみの種類が多い。白子焼きや真ダコのやわらか煮、あん肝ポン酢、ホタテの磯辺焼きなどが並び、お酒も存分に楽しめる。「僕もお酒が好きなので、自然に自分が食べたいものをそろえるようになった。独立したばかりの頃に比べ、メニューの種類は倍ぐらいになっています」(新田さん)。日本酒を飲む客が多いといい、できるだけ味わいが異なる酒を揃えているという(現在は緊急事態宣言中につき酒類の提供は休止)。

「真ダラの白子(焼)」。取材日は北海道・根室産を使用

すし光琳では、今後、これまでの店にない料理を出そうと考え、すしばかりか和食の枠を超えたアイデアを抱く。「これまであまりに忙しかったので、すし光琳ではもう少し自分のすしを見つめ直したい」と新田さん。自分の仕事を心から愛する彼は、新しい舞台でさらに輝きを増していくに違いない。

(ライター メレンダ千春)


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