手間暇かけて、鍋を育てる
20年は地上波連ドラに初主演。今年は映画単独初主演と順調にキャリアを重ねる。忙しい日々を送る福本さんを、今、幸せにするモノとは?
「食です。私、もともと食べることが好きで、よく1人でランチに行ったりするんですよ。『仕事終わりに、あれを食べよう』と、食をご褒美にがんばることも多いですね。去年のコロナの自粛期間からは、自炊もよくするようになりました。時間があるときは、牛スネ肉を2時間くらい煮込んで、ビーフシチューを作ったり。すごくおいしかったです。
自炊が増えたので、最近、無水調理できるストウブ社の鍋を買ったんです。密閉性が高いから、水を入れなくても、野菜から水分が出る。おいしい料理ができるので、重宝しています。ただ、筋トレができそうなくらい重くて、洗うのもひと苦労なんです。まあ、その重さもまたいいんですけど。長持ちさせるために、『シーズニング』という油ならしの作業をするんですが、そんなふうにひと手間掛かるところも、鍋を育てている感じがして好きです」
成人後の変化として、モノを大事にするようになったという。
「もともとモノ持ちはいいほうなんですけど、より細かいところまで気にするようになりました。例えば、靴。ソールの裏にゴムを貼ると長持ちするので、一斉に裏貼りに出したりしましたね。最近読んだ本に、『モノに接するのと、人に接するのは同じ』というふうに書いてあって、本当にそうだなと思ったんですよ。モノを大事にしない人は、人に対しても同じように接してしまうかもしれない。どちらも丁寧に向き合いたいです。
今、欲しいモノですか? あ、仕事は欲しいです(笑)。私、仕事をして、終わったときにご褒美としてモノを買うタイプなんです。『しあわせのマスカット』の後はアクセサリーを買って、最近はブーツを買いました。ずっと気になっていたブーツで、高いので迷っていたんですけど、勇気を出してお店に行ったら、日本の在庫のラスト1足だったんです。今日履いてきたのは、そのブーツ。カツッカツッカツッと音を鳴らしながら歩いて、気合いが入りました」


しあわせのマスカット
自分がデザインした和菓子で、人を幸せにしたいーー。そう夢を抱いて和菓子メーカーに就職した相馬春奈。しかし配属されたのは、原材料を調達する部署。提携している農家の手伝いに行くと、偏屈で名高いぶどう農家の秋吉伸介に追い返される。それでも毎日通う春奈だったが、伸介はマスカット作りをやめようとしていた…。監督・吉田秋生 脚本・清水有生 出演・福本莉子、中河内雅貴、本仮屋ユイカ、土居裕子、長谷川初範、竹中直人 全国ロードショー中
(文 泊貴洋、写真 藤本和史)