日経Gooday

答えと解説

正解(間違っているもの)は、(2)筋力を強化する(4)心肺機能を高める です。

運動は大きく、レジスタンス運動、有酸素運動、ストレッチの3つに分けられます。レジスタンス運動は、筋トレに代表されるような、筋肉に比較的大きな負荷を繰り返しかける運動で、筋肉量を増やし、筋力を強化し、基礎代謝を高める作用があります。有酸素運動は、ジョギングやウオーキングなど、比較的軽い負荷で酸素を取り込みながら長時間行う運動で、体脂肪を燃やして心肺機能を高め、血管を柔らかくするなどの作用があります。

一方、筋肉や関節を伸ばす運動であるストレッチには、筋肉を柔らかくし、関節の動きを滑らかにして可動域を広げる効果があります。「柔軟性は、筋力や持久力と同じく、体力を構成する重要な要素の1つです。体が硬くなるということは、つまり、筋肉が硬くなって関節の可動域が狭くなるということを意味します。そうなると、体の動きに左右差が生じてひざや腰を痛めたり、姿勢のゆがみが内臓に負担をかけたり、血行が悪くなって肩こりや腰痛が起こる、といったさまざまな不調が起きてきます」。パーソナルトレーナーでCALADA LAB.(カラダラボ)代表の比嘉一雄さんは、そう話します。

ストレッチによって筋肉を柔らかくし、関節の可動域を広げれば、ひざや肩、腰の痛みやケガ、コリを予防することができます。しかし、ストレッチの効果はそれだけではありません。「運動すると筋肉に糖が取り込まれて血糖値が下がるのですが、ストレッチにも同じ効果があることが分かってきたのです」と比嘉さんは話します。

インドで行われたある研究[注1]では、40~65歳の糖尿病患者51人を2群に分け、一方には筋トレ(レジスタンス運動)を60分、もう一方にはストレッチを60分してもらいました。その前後で血糖値を調べてみると、ストレッチを行った群も、筋トレ群と同じくらいのレベルで血糖値が下がっていました(図1)。

図1 ストレッチの前後の血糖値の変化

ストレッチを行った群でも、レジスタンス運動(筋トレ)と同じレベルでの血糖値の低下が認められた。(J Exerc Rehabil. 2017;13(5):581-7.)

ストレッチで体が柔らかくなれば、動脈硬化が改善する効果も期待できます。立命館大学スポーツ健康科学部の家光素行教授らが、全身の動脈硬化の進行度合いを示すPWV(Pulse Wave Velocity=脈波伝播速度)を指標に用いて行った研究では、10種目のストレッチを40分間行うと、15分後と30分後の時点で、一時的にPWVの改善が見られました[注2]。さらに、5種目のストレッチを1回10分間、1日2回の頻度で続けてもらったところ、4週間後のPWVはストレッチ前に比べて低下しており、動脈硬化の改善が見られたそうです。

ストレッチは、有酸素運動や筋トレに比べると運動強度は低いものの、「それでも、歩くのと同じくらいの運動強度はあります」と比嘉さんは話します。運動習慣がない人にとって、本格的な運動を始めるのはハードルが高いものですが、その点、ストレッチは自宅で手軽にできるうえに、筋トレやジョギングほどきつくもありません。体の動きが良くなり、血行も改善し、肩こりや腰痛の改善、血糖値上昇や動脈硬化の予防にもつながるストレッチを、毎日の習慣に取り入れてはいかがでしょうか。

[注1]J Exerc Rehabil. 2017;13(5):581-7.

[注2]Am J Phys Med Rehabil. 2016;95(10):764-70.

この記事は、「体が硬い人は血管も硬い!『自重ストレッチ』で血管若返り、腰痛・肩こり予防」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/20/120900045/121000002/(伊藤和弘=ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年4月12日付記事を再構成]

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