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「Weverse」 (C)Big Hit Entertainment

20年3月には「V LIVE」内に、SMがオンライン専用コンサートのブランド「Beyond LIVE」を立ち上げ、Super Mを皮切りに、東方神起やSuper Junior、NCTなど、所属アーティストのオンライン公演を実施。8月にはSMとJYP Entertainment(以下、JYP)が、「Beyond LIVE」を企画・運営する合弁会社を共同で設立。これを機に、JYP所属のTWICEやStrayKidsも「Beyond LIVE」で公演を行っている。

所属アーティストが「V LIVE」にもチャンネルを持つBig Hitだが、19年には独自にファンコミュニティー・プラットフォーム「Weverse」を立ち上げた。参加アーティストはBTSやTOMORROW X TOGETHERら、Big Hit所属のアーティストに加え、同社傘下のPledis所属のSEVENTEEN、SOURCE MUSIC所属のGFRIEND、Big HitとCJ ENMの合弁法人であるBELIFT LABに属するENHYPENらだ。

バーチャルが生む親近感

「Weverse」もアーティスト別にコミュニティーがあり、映像コンテンツやアーティストの投稿が公開されているが、加えて、アーティストからファンのコメントに返信が来ることもあり、そのことが直接的に親近感やロイヤルティを高めている。ファンが好きなアーティストに向けてメッセージや画像を投稿したり、ファン同士がコミュニケーションする機能もあり、「V LIVE」に比べるとSNS的な要素が強い。ファンダムの規模と結束力の強さを武器にするBig Hitらしい、オウンドメディアだ。

有料メンバーシップや物販を扱う「Weverse Shop」も展開しており、20年上半期だけで売り上げは1127億ウォン(約106.7億円)。ツアーがすべて中止になったコロナ禍の数字ではあるが、Big Hit全体の売り上げの約38%を占めている。

今回の2大プラットフォームの業務提携は、具体的にはBig Hitの子会社で、「Weverse」「Weverse Shop」を運営する「beNX」にNAVERが約332億円を投資し、「V LIVE」の事業部をbeNXに譲り渡すことで始まった。NAVERはBig Hitと並ぶbeNXの2大株主となった。今後は、NAVERの持つITインフラとBig Hitの持つコンテンツ力がタッグを組むことでシナジーを生み、よりグローバル市場で圧倒的な立場を作っていくことがミッションだ。NAVER側はこの発表に際し、こうコメントしている。「グローバル市場で影響力を拡大するためには、韓国のプラットフォーム間の競争を超え、シナジーを生み出せるプラットフォーム同士の緊密な強力が必要だ」

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“韓国発”が世界標準に!?