
終始担架に乗って撮影
「シュールでユニークなキャラクターということで佐藤さんの名前が挙がり、即決した。キャラクターの世界観を作り上げる役作りができ、ユニークな視点も持ち合わせている。とてもまじめで温かく、現場ではムギちゃんへの演技指導もしてくださった」と細見氏。最後に正体が明かされる、サステナブルな使用済みペットボトルという「難役」をこなした佐藤への信頼感は絶大だ。
動画中ではほぼ横たわっていた佐藤。実は担架に乗って撮影していたという。担がれるか滑り台に挟まれるか、一度も立つことなく体を張った撮影にも「アクション俳優ばりの仕事だね」と言いつつ和やかに挑んだという。
ペットボトルを擬人化するアイデアはブランドコミュニケーションのDNAを引き継いでいる。12年に発売した「GREEN DA・KA・RA」は、グレープフルーツ・レモン・ゆず・はちみつ・さとうきび・海藻など11種類の素材を使用し、日常生活の水分補給をコンセプトにした飲み物として誕生した。キャラクターには製品を擬人化した緑の帽子をかぶった女の子「ダカラちゃん」を起用して人気を呼んだ。
翌13年に大麦、米、はと麦などを用いたカフェインゼロの「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」をラインアップに追加。新たにこれまたやさしい麦茶を擬人化した「ムギちゃん」が、ダカラちゃんの「妹」として登場。実は2人は本当の姉妹で、その愛くるしい掛け合いに視聴者はすっかり魅了され、めいっ子を見守るような視線を送った。
GREEN DA・KA・RAは「レモン&乳酸菌」「すっきりしたトマト」「やさしいゼリー」「塩ライチ&ヨーグルト」などラインアップが拡充。出演当時2歳だったムギちゃんは9歳になり、やさしい麦茶はサントリーの企業メッセージを伝える看板製品に育った。
時代の流れを感じつつ、佐藤のような温かいまなざしを送る人も増えるだろう。動画を見てほっこりとやさしい気持ちになった後は、飲み終えたペットボトルの分別をお忘れなく。

(ライター 北川聖恵、写真提供 サントリー食品インターナショナル)
[日経クロストレンド 2021年4月23日の記事を再構成]