
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、室内の空気の質を気にする人も多いだろう。ダイキン工業が2020年11月に発表した「2020年コロナ禍の空気感調査」によると、屋外より室内の空気が心配と考える人の割合は約7割に上るという。
空気清浄機は一般的に、本体に吸い込んだ室内の空気に含まれるホコリや花粉などの微粒子をフィルターでろ過し、きれいにして排出する。多くの空気清浄機に搭載している「HEPAフィルター」は、JIS規格で「定格流量で粒径が0.3マイクロメートルの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa(パスカル)以下の性能を持つエアフィルター」と定められている。
微粒子の大きさで比較すると、スギ花粉は直径30マイクロメートル前後、ハウスダストは同10~100マイクロメートル前後、PM2.5は同2.5マイクロメートル以下であるのに対し、ウイルスは同0.1マイクロメートル前後。つまりHEPAフィルターではウイルスまで除去できないということになる。
しかし近年の高級空気清浄機の中には、独自の技術を搭載し、ウイルスレベルの微粒子の捕捉を実現したり、フィルターで捕捉したホコリに吸着したウイルスを抑制することで、より小さな微粒子にアプローチするモデルが登場している。
米ソ冷戦時代に開発されたウイルス捕捉技術を搭載

米国生まれの空間除菌清浄機、ピエラス「メディエアー」が搭載しているのは、米ソ冷戦時代に細菌戦を想定し、軍事補助金によって開発された特許技術「DFSテクノロジー」。直径0.5~1マイクロメートルとされる細菌はもちろん、0.1マイクロメートルのウイルスより小さい0.007マイクロメートルの超微粒子を99.99%捕捉できるという。
全5層からなるフィルター類の中でも、特に肝となるのが「ハイエナジーグリッド」と呼ばれる部分だ。微粒子が通過する際に、静電気作用を与えて帯電させることで、微粒子同士が結合、大型化し、メインフィルターをすり抜けることなく確実に捕集するという。さらにメインフィルターに吸着したウイルスや菌の作用は、「ハイエナジーグリッド」との間に生成した電磁フィールドによってほぼ抑制される。フィルター交換の目安は2年に1回で、フィルターセットの価格は4万3780円。

21年4月には、コンパクトタイプの「mediAir smart(メディエアースマート)」(10600-9・適用床面積18畳)を発売。0.007マイクロメートルの有害物質を99.99%捕捉する空気清浄性能はそのまま、価格は17万3800円に抑えている。
