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ティラノサウルスは何頭いた? 東京都の広さなら20頭

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ナショナルジオグラフィック日本版

6700万年前の米国モンタナ州にタイムトラベルしたら、ある暴君の支配域に入ることになる。その暴君とは、ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex)だ。ただし、あの世界に足を踏み入れる前に知っておきたいことがある。ティラノサウルスはどれくらい近くにいるかだ。

そんなことを知るのは不可能と思うかもしれない。しかし、ティラノサウルスに関する20年分の研究成果を基にした最新の論文が、ティラノサウルスの生息する密度(個体群密度)を導き出した。それによれば、ティラノサウルスは半径6キロ圏内に1頭の割合でいたと考えられる。東京都の広さなら20頭がいた計算だ。

2021年4月16日付で学術誌「サイエンス」に発表された論文はまた、この個体群密度を基に、太古の世界でどれほどのティラノサウルスが生まれ、死んでいったかの総数も推測している。研究チームの試算によれば、およそ2万頭が同時に存在し、約12万7000世代にわたって存続したという。これらの数字から、北は米国アラスカ州、南はメキシコまで広がる北米の生息地に、200万~300万年にわたり、合わせて25億頭のティラノサウルスが生息していたと結論づけた。

ティラノサウルスの数を推定しようと試みた研究はこれが初めてではない。事実、今回の論文で示された個体群密度の中央値は約110平方キロ当たり1頭で、1993年に発表された推定値とほぼ一致する。しかし、今回の研究では最新の生物学の知見を取り入れ、個体数の上限と下限を推定しようとしている。

今回の研究では、可能性のある値の組み合わせを少しずつ変えながら、多数のシミュレーションを行うことで、ティラノサウルスの総数は1億4000万頭から420億頭までの可能性があり、その中央値は約25億頭であることを突き止めた。また、同時に存在したティラノサウルスは1300頭から32万8000頭までの可能性があり、中央値は2万頭だったと結論づけた。

「ティラノサウルスについて知られているすべてのことを使い、個体群動態を解明しようと試みていることに、とても興奮しています」と、米オクラホマ州立大学ヘルスサイエンスセンターの古生物学者ホリー・ウッドワード氏は、第三者の立場で述べている。「これほどの規模で行われたことがないため、面白さと楽しさを感じています」

重い動物ほど、生息する密度は小さい

この20年間で寿命(約28年)、成熟期に達する年齢(約15.5歳)、成長後の体重(平均約6.8トン)など、ティラノサウルスについて非常に多くの発見があった。これらのデータから、1世代の期間(19年前後)や平均体重を算出できる。

研究チームはティラノサウルスの個体数を知るため、生きた動物の体重と個体群密度の関係を利用することにした。体重が大きい生物ほど密度は小さくなるという平均パターンが存在し、ダムスの法則と呼ばれている。

ダムスとは米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の生態学者ジョン・ダムス氏のことで、生きた哺乳類の30年分の生態学的データから、このパターンを発見した人物だ。しかし、ダムスの法則は決して鉄壁ではない。動物によってライフスタイルや生息地が大きく異なるためだ。例えば、ブチハイエナとジャガーは同じような体重で、どちらも捕食者だが、密集度はハイエナの方が50倍ほど高い。

ダムスの法則をティラノサウルスに当てはめると(ティラノサウルスは哺乳類ではないという事実を考慮したうえで)、ティラノサウルスの総数は1億4000万~420億頭の範囲に収まるという結果が出た。

今回の研究を率いた米カリフォルニア大学バークレー校の古生物学者チャールズ・マーシャル氏は「古生物学では、何かを見積もるのはとても難しいことです。そのため、見積もることより、範囲をとらえようと考えました。確実な上限と下限を設定しようと」と説明する。

化石になる恐竜はきわめてレア

マーシャル氏らはこの太古の暴君がどれくらいいたかをより深く理解できただけでなく、化石になる確率についても見積もることができた。

ティラノサウルスの標本は知られているだけで100点ほどあるが、約5分の2が個人や営利団体の所有物で、確実な研究ができる状態ではない。そこで、マーシャル氏らは公的機関に所蔵されているティラノサウルスの成体の化石32点を化石の総数の下限として設定した。

もしティラノサウルスの総数の中央値である25億頭がこれまでに命を落とし、32の化石しか得られなかったとしたら、ティラノサウルスが死後に化石化した確率はわずか8000万分の1程度ということになる。

たとえ化石化の割合がもっと高く、残りはまだ発見されていないだけだとしても、その確率の低さを見れば、死骸が短時間で埋もれた状態になり、しかも、鉱物に置換されて化石になる化学的条件がそろうことがいかに珍しいかがよくわかる。「もしティラノサウルスの総数が25億頭ではなく250万頭だったら、私たちはその存在すら知らなかったかもしれません」とマーシャル氏は話す。

マーシャル氏らが提示した手法は、ほかの絶滅した生き物にも応用できる。研究者たちは恐竜の有力候補として、白亜紀の草食恐竜マイアサウラを挙げている。生まれたばかりの赤ん坊から成体まで、知られているだけで数百の標本が存在するためだ。

ウッドワード氏は今回の研究によって示されたことのなかでも特に、恐竜の化石が希少なものである可能性に興奮している。もし化石化の割合がティラノサウルス以外の種にも当てはまるとしたら、化石になることすらなく、永遠に失われてしまった恐竜種の数を推測できるかもしれない。「どれくらい失われたかを知ることは、どれくらい存在するかを知ることと同じくらい重要です」

(文 MICHAEL GRESHKO、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年4月23日付]

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