ビジョンに共感しスタートアップへ

――大手企業の安定した待遇から突然無職になったわけですが、次に何をするかは決まっていましたか。

「退社したのは25歳のころ。漠然とスタートアップで働きたいと考えていましたが、いざ自分がどう貢献できるかと思いをはせると、営業経験もなくエンジニアでもなく、マーケティングや経営の経験もありませんでした。会社をやめると、給料がゼロになるのは当たり前ですが、思った以上に生活水準の変更を余儀なくされました。貯金を取り崩して過ごす日々でしたが、いつかは元の給与水準で仕事ができるだろうと、楽観的に考えていたところがありました」

フォースタートアップスのエンジニア、藤井祐汰さんは証券会社から転職した

「本格的に次の仕事を探す前に『少なくともITの知識はあって損はしない。ついでに英語も』と一念発起し、プログラミングを短期集中で学ぶ『ブートキャンプ」に参加しました。授業はすべて英語。約2カ月間、毎日、朝から夜まで12時間ほどプログラミングに没頭するという日々でした。想像していた以上におもしろく、夢中になりました。全く分からないところから少しずつ理解していく感覚を確認するのが新鮮でした」

「15カ国23人の仲間と共同のワーキングスペースで作業するなど、大企業と180度違う環境を楽しんでいました。文系出身者がほとんどで、転職を視野に入れて参加した人が多かったです。キャンプが終わるころにはこのままエンジニアとして仕事を探そうと思うようになっていて、今思えば、ブートキャンプが人生の転機になりました」

――その後、スタートアップ企業を支援する会社に就職した理由は何ですか。

「シェアハウスの住人からの紹介で現在の会社の人に出会いました。『for Startups(スタートアップ企業のために)』というビジョンに共感した部分が大きかったです。証券会社時代から、日本の国力低下を痛感することが多く、『このままではいけない』という漠然とした危機感を持っていました。この会社で働けば、スタートアップを活性化する取り組みに自ら貢献していけそうだと期待が高まりました。エンジニア組織がまだ大きくなかったので、この先、いつか面白いことを始めるタイミングが来るだろうと、まだ見ぬチャンスにかけていた面もあります」

「今は主に、社内の人材コンサルタントや転職希望者らが使う顧客管理システムを開発しています。システムをより使いやすくすることによって、コンサルタントの成績が上がり、スタートアップへの転職を後押しできる、ひいては日本の競争力アップにもつながるという点で、社会的な意義を感じ取れるのはとてもありがたいです」

「コンサルタントは日々、様々な要望や相談を伝えてくるので、キャッチアップの勉強が欠かせませんが、どん欲に学ぶことができる生活を楽しんでいます。スタートアップでは『未熟者だから』という言い訳は通じません。先輩エンジニアたちと対等に話せるよう、今後も努力し続ける必要があると感じています」

「入社時に10人だったエンジニアチームは現在ほぼ2倍の規模に増えました。組織も開発しているシステムもまだまだ改善の余地がありますが、逆にああしよう、こうしようと考える楽しみがあります。職務が細分化されている大企業と違い、ボールがあちらこちらに転がっているので、積極的に拾いにいけば、それだけ自分の可能性も広がるのがスタートアップで働くだいご味だと思います」

「今後のキャリア目標としては、一義的にはエンジニアとして成長したいと思っています。そして、将来的には起業する側に回りたいですね。テクノロジーが分かる経営者として、社会的な課題を解決するようなスタートアップを創業できればと思っています」

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