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20周年ツアー中止 無観客でライブ配信へ(井上芳雄)

第92回

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

井上芳雄です。緊急事態宣言によるイベントの要請内容に基づき、デビュー20周年コンサートツアーの富山・大阪・福岡・東京公演が開催中止となりました。昨年延期が決まってから1年かけて準備をしてきたので残念ですし、楽しみにしてくださっていた皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。今は新型コロナウイルス感染収束のために最善を尽くすしかないので、気持ちを切り変え、5月8日に無観客でのライブ配信を準備しています。ゲストの方々を呼べるだけ呼んで、フェスティバルのような形にしたいと考えています。残念な気持ちを吹き飛ばしてあまりあるくらい、エネルギー全開で歌いまくって、元気あふれるライブにするつもりです。

全国5都市で8公演を予定していた『井上芳雄 by MYSELF スペシャルライブ 20th Anniversary Live Tour ~ギリギリ間に合った!井上芳雄デビュー20周年ツアー~』は、4月28日以降の7公演が中止。初日の4月24日の千葉公演だけ開催できました。ゲストには浦井健治君が来てくれました。緊急事態宣言への対応を発表する前でしたが、お客さまを入れてできる唯一の公演になるかもしれないと臨んだので、1曲入魂の思いで。30曲近くと曲数も多かったのですが、いつもと違った種類のアドレナリンが出て、どれも全力で歌い切りました。お客さまも状況を分かってくれていて、それぞれの曲に長い拍手をいただき、うれしかったです。ピアノの大貫祐一郎さん、ミュージシャンやダンサーやスタッフの方々もみんな頑張ってくれて、本当に祝福された時間。ライブは1回限りのものだというのが身に染みて、初めて感じた類いの喜びでした。トークも、ここで笑ってほしいと用意していたネタにちゃんと反応をもらえたので、悔いはありません。1回だけだったとしても、お客さまの前でできたのは大切な経験だったとかみしめています。

とはいえ、あと7公演が中止となり、楽しみにしてくださっていた皆さんには本当に申し訳ないですし、準備に多くの時間や経費をかけてくれたスタッフの方々の苦労を考えると、残念でしようがありません。コンサートを見ていただけないこともそうだし、急に興行が成り立たなくなった事態に、どう対処していくかも難しい問題です。

そんななかで今できる唯一のことが無観客ライブなので、ツアー最終日だった5月8日にライブ配信を準備しています。会場は国際フォーラム ホールAをそのまま使わせてもらい、中止になった7公演のゲストの方々に声をかけて、来られる方に来ていただき、フェスティバルのような形にしたいと考えています。普通にやるとゲストが1人か2人で30曲くらいなのですが、6、7人になると50曲を超えるかもしれません。そのくらいエネルギーを全開にして、歌えるだけ歌いまくって、皆さんに元気をお届けしたいと思っています。楽しみにしていてください。

さて、緊急事態宣言が発令される前、4月の後半は自分のコンサートツアーの準備を進める一方で、ゲストとしてショーやコンサートに呼ばれる機会が続きました。4月19、20、21日は松尾スズキさんが総合演出を手がける『シブヤデアイマショウ』というショー、4月20日は浦井健治君のコンサートに出演。4月20日は昼と夜で違う公演のゲストに出るという初めての経験もしました。ゲストは緊張もするのですが、呼んでいただけるのは光栄なこと。少しでも場を盛り上げられるよう、精いっぱいやっています。今回は、ゲストで舞台に出るプレッシャーや面白さについて書きたいと思います。

4月18~24日(25日は中止)までBunkamuraシアターコクーンで上演された『シブヤデアイマショウ』は、昨年シアターコクーンの芸術監督に就任された松尾スズキさんが新たに立ち上げたエンタテインメントショーです。僕は松尾さんとご一緒したことはなかったのですが、松尾さんが書いたり作ったりするものは大好きなので、ゲストの声をかけていただき、喜んでお受けしました。

「生バンドと豪華キャストによる大人の歌謡祭!」という触れ込みで、歌と踊りと笑いで物語をつないでいくショースタイルの公演です。松尾さん、のんさん、大人計画の方々をはじめキャストの皆さんが、いろんな曲目を歌って踊るなかで、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『ジーザス・クライスト=スーパースター』『レント』といった有名なミュージカルのパロディーや替え歌がたくさん出てきます。その流れで、いろんなミュージカル俳優が日替わりゲストとして出演するうちの1人として、僕は3日間出ました。

初日の4月19日は石丸幹二さん、2日目の20日は昆夏美さん、3日目の21日は咲妃みゆさんと一緒に出て、それぞれソロを1曲ずつとデュエットで1曲歌いました。僕のソロは『エリザベート』から『最後のダンス』。デュエットは、石丸さんとは『上海バンスキング』から『ウェルカム上海』、昆さんとは『ミス・サイゴン』から『世界が終わる夜のように』、咲妃さんとは『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』から『ドリーム』。基本的に、これぞミュージカルという曲を歌いました。

ゲストコーナーは第2幕なので、第1幕は1階客席の一番後ろで見ていたのですが、とにかく手が込んでいて、つくるのが大変だっただろうと思いました。出演者の方々はすごく稽古をされたみたいで、歌も踊りも上手だし、あらためて芸達者な皆さんだなと。内容はまさにエンタテインメント賛歌で、松尾さんらしい笑いと毒を含んだ作りです。テレビの人気者をキャスティングしないと興行が成り立たないとか、著名な演出家の方々をネタにしたりとか、随所に盛り込まれた演劇界を風刺する痛烈な表現に大笑いしながら、あらためて劇場で新しいものを生み出すことの尊さを感じました。お客さまもそれを楽しみに待っていたのがひしひしと伝わってきました。いろんなミュージカルの演目いじりを含めて、演劇愛があふれています。その結果、僕たちいわゆる本職のミュージカル俳優が出ていって真剣に歌うのを喜んでもらえる作りになっていて、うれしかったです。でも、作り込まれた独特の世界観の中に急に出ていくのは緊張しました。

ゲストは短い時間だし、やることも少ないので楽な仕事かというと、そうでもありません。呼んでいただいた期待に応える仕事をしなきゃというプレッシャーもあるし、本編の皆さんが稽古を重ねてカンパニーとしてできあがっているところに、素の自分としてぽんと入るという緊張感もあります。その場の空気に早くなじめたり、少しでも盛り上げられるパフォーマンスができるよう、自分の出番までは舞台の流れを見ていて、使えるネタはないかとか、トークでここを突っ込んだら面白いのではとか、ずっと考えています。

『シブヤデアイマショウ』では、僕が黄泉の帝王トートの役で出ている『エリザベート』がいじられていたので、初日のトークではそのことをしゃべろうと思って舞台に出ていきました。ソロで歌った『最後のダンス』では、キャストの乾直樹さんがバックでダンスを踊ってくれました。乾さんは『エリザベート』の公演でトートダンサーを演じていて、友人でもあるので、何か一緒にやりたいね、ということでコラボレーションが実現しました。振り付けを考えてくれて、事前にリハーサルをしてもらえて、とてもありがたかったです。

そんなふうにゲストで出るにしても、自分なりにできることを探して、何かを残したいと常々思っています。だから楽しかったり、面白かったりする経験ではあります。やっぱり僕は、初めての人たちに会ったり、パフォーマンスを見るのが、すごく好きなんですね。

浦井健治君に踊りで挑んだつもりが……

4月20日の昼間は、東京国際フォーラム ホールAでの浦井健治君の20周年コンサート『浦井健治 20th Anniversary Concert ~Piece~』にゲスト出演しました。

僕の出番は中盤だったので、オープニングから舞台裏で見ていたのですが、浦井君はいつになくとても真面目にやっていて、すごいなと思いました。20周年にあたっての思いや感謝を自分の言葉で語っているのもすてきでした。一方で、僕と浦井君は関係が長いので、2人でワイワイしているのを楽しみに来てくださったお客さまもいらっしゃるだろうから、僕の役割はにぎやかしというか、弾けた時間にしようと思って出ていきました。僕から見ると、浦井君は天然ボケのキャラクターで、一緒にしゃべっていると、いろんなハチャメチャなことを言ってくれたりするのが魅力でもありますから。

自分のコンサートの経験から分かるのですが、1人でずっとやっていて、途中でゲストが来てくれるとすごくうれしいものです。やっと自分1人で場を背負わなくてすむみたいな感じになって、ほっとします。だから僕がゲストで出るときは、できる限り場を盛り上げようと、毎回心に決めて出ていきます。

ゲストコーナーでは、ソロで『歌うたいのバラッド』、浦井君とは『エリザベート』から『闇が広がる』と『ロミオ&ジュリエット』から『世界の王』をデュエットしました。『世界の王』は僕からの提案です。浦井君は『ロミオ&ジュリエット』にロミオの親友ベンヴォーリオ役で出演しているのですが、僕がロミオ役をやることはこの先ないだろうからと、初めて2人で歌ってみました。振りがある曲なので、それらしい振りもしようと打ち合わせて。それで実際に、本番で踊り出したらなんだか楽しくなって、お客さまも笑ってくれていたので、身体が止まらなくなってしまいました。元の振りを知らないので、独自の動きになってしまい、浦井君に振りで挑んだつもりが、僕のまさかのハイテンションに浦井君もすっかり引いてました(笑)。

自分でも予想外のはしゃぐ先輩みたいになってしまって、恥ずかしかったのですが、それも僕なりの20周年のお祝いというか、サービス精神ではありました。そういうことが起きるのも本番の面白さ。もちろん主役である浦井君を本当に困らせたら意味がないのですが、ハプニング的なこともコンサート全体から見ればアクセントになるだろう、と思いながら踊っていましたね。トークのネタや歌のパロディーで笑いをとるのには慣れてるのですが、普段はあまり踊らないので、踊りでも笑いがとれるんだという発見もありました。自分のコンサートだと、そこまで弾けられないと思うので、ゲストだからできたことかもしれませんね。

楽譜のコピーをいつも持ち歩く日々

ゲストが続いたのと、自分のコンサートツアーも控えていたので、最近は楽譜のコピーをいつも持ち歩いていました。iPadなどに入れている人が多いのですが、僕はまだデジタル化されてない人間なので、紙を持ち歩いて、暇があればチェックしていました。ゲストで1曲か2曲しか歌わないにしても、初めて歌う曲もあるし、久しぶりに歌ったり、初めて一緒に歌う相手だったりもあるので、必ず事前に準備が必要です。僕は比較的すぐに歌える方ではあると思いますが、それでも今日覚えて今日歌うことはできません。どんな仕事でも、楽にできることはないものです。

振り返ると、ゲストに呼ばれることは近年増えています。周年記念のコンサートなら、ぜひお祝いに行きたいですし。僕はデュエットするのが好きで自分のコンサートにゲストで来てもらうことが多いので、持ちつ持たれつもあります。先輩からも後輩からも呼ばれますが、やっぱり呼ばれたらうれしいものです。来てほしいと思ってもらえるのは光栄なことなので、できる限り期待に応えたいなと。短い時間でもベストを尽くして、自分でもやりきったと思えるよう、頑張りたいと毎回思っています。

『夢をかける』 井上芳雄・著
 ミュージカルを中心に様々な舞台で活躍する一方、歌手やドラマなど多岐にわたるジャンルで活動する井上芳雄のデビュー20周年記念出版。NIKKEI STYLEエンタメ!チャンネルで月2回連載中の「井上芳雄 エンタメ通信」を初めて単行本化。2017年7月から2020年11月まで約3年半のコラムを「ショー・マスト・ゴー・オン」「ミュージカル」「ストレートプレイ」「歌手」「新ジャンル」「レジェンド」というテーマ別に再構成して、書き下ろしを加えました。特に2020年は、コロナ禍で演劇界は大きな打撃を受けました。その逆境のなかでデビュー20周年イヤーを迎えた井上が、何を思い、どんな日々を送り、未来に何を残そうとしているのか。明日への希望や勇気が詰まった1冊です。
(日経BP/2970円・税込み)
井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)、『夢をかける』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第93回は5月15日(土)の予定です。

夢をかける

著者 : 井上芳雄
出版 : 日経BP
価格 : 2,970 円(税込み)

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