ファミマとゴディバがコラボ 430円の高級フラッペ
ファミリーマートのフラッペは、冷凍コーナーに置かれた細かなかき氷入りのカップを購入し、コーヒーマシンでミルクを注いで作る。シャーベットのような食感が人気だ。2014年に発売され、カフェや抹茶といったフレーバーを毎年約10アイテムずつ展開してきた。主な価格帯は税込み300円前後。21年3月末時点で累計1億7000万杯を売り上げる定番商品だ。
21年4月24日に発売した「ゴディバ監修 チョコレートフラッペ」(税込み430円)は、ファミマのフラッペ初の高級ブランドとのコラボ商品。チョコ氷とチョコクリームを同じ割合で2層にし、さらにカカオ分50%以上のチョコチップを入れてゴディバの味を再現した。価格は従来のフラッペを100円以上、上回る設定だ。
開発を主導した商品本部の高見沢祐介氏によると、「原価は通常の約2倍で、過去一番かかっています。重視したのは、この味だったらこの値段でもいいという『値ごろ感』。本当にいいものを作りたかったので、実は原価を考えずに作りました。完成してから値段を決め、通常の1.5倍まではいけると踏みました」
実際に飲んでみると、チョコレートが濃厚で確かにゴディバらしさがあふれる。氷にチョコチップが交じることで、チョコレートらしい食感があるところにも工夫を感じた。
フラッペの主な購入層は、小学生の子供がいる40代女性、次いで20~30代の若者が多い。気温が高くなるにつれて販売数は伸び、休日にサービスエリアや観光地などで圧倒的な数が出るのが特徴だ。
コンビニ業界はコロナ禍で苦戦が続き、フラッペには消費者を呼び込む「起爆剤」としての役割が期待される。「年度が替わる4月の1、2作目は、年間の売り上げを左右するほど重要な位置付け。フラッペの販売も落ち込んでいるため、話題を呼んで勢いをつけようと、プチぜいたくというトレンドを押さえたゴディバコラボを思いつきました」(高見沢氏)
コロナ禍でもフラッペは進化していた
コロナ禍とはいえ、フラッペは味だけでなく作り方も進化していた。フラッペは容器から蓋を取り、アイス状になったかき氷にヒビを入れるため容器をもみ、コーヒーマシンでミルクを注いで作る。
氷の中央には、もみやすくするための穴が開いている。以前は蓋の裏側に付いた逆円すいの型を挿していたため、取りにくさを考慮し、カウンターの店員が蓋を取って渡していた。現在のフラッペは直接の手渡しによる感染リスクを考え、蓋をコーヒーのようなトップシール型に変更して取りやすくし、購入者自身ではがすフローにした。
蓋を変更できたのは、製造技術が進歩したためだ。ガリガリ君で知られる赤城乳業(埼玉県深谷市)の瞬間冷却技術を使い、逆円すいの型が無くても穴の形を長時間維持できるようになった。
ファミリーマートによると、「お勧めはしませんが、新しいフラッペは家に持ち帰ってミルクを入れて作ることもできる」という。ゴディバコラボの新フラッペは、おうち時間の充実ニーズも取り込む可能性がある。
21年はファミマ40周年で、フラッペでも様々な企画を打ち出していく。4月10日には、14年当時のカフェフラッペの味を再現した「カフェフラッペ2014」(税込み298円)を復刻した。今後も人気フラッペの復刻版や、あっと驚くようなブランドとのコラボが控えるという。夏に無類の強さを誇るフラッペが、コンビニ市場の暗雲を吹き飛ばすのに一役買う。
(日経トレンディ 寺村貴彰、写真提供 ファミリーマート)
[日経クロストレンド 2021年4月23日の記事を再構成]
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