“音楽と仲が良い”才能を

オーディションのステートメントには、「次の10年で(K‐POPに)本気で追いついて、アジアから世界へ新しい風を巻き起こすつもりである」とある。あらゆるシミュレーションをしながらデビュー後の体制作り、アルバム制作の準備を進めている。

「体制としては、1アーティストに対してのコアスタッフの人数は、極力少な目にしたいです。意思決定に確認を費やしたくないから、というのが最大の理由ですけど、もう1つは、そのほうがいろんなところと仕事ができるから。日本にはワールドクラスのビートメーカーが何人もいるのに、日本からそういうボーイズグループが出てないことがおかしいんですよね。

アルバムは来年を予定して、今準備を進めています。ただ、まだスキームがないので、完成までに試行錯誤を繰り返して難しい作業になるかと思います。合宿中の課題曲を通して、本人たちのクリエーション能力も高めていかないといけないですし」

最後に残るのは5人の予定。バランスをどう考え、どんなグループを目指すのか聞いた。

「『才能』っていう言葉を、最近僕は意識して使うようにしているんだけど、自分が彼らに1番望んでいるのは、自分が持っている才能、特徴、特性、個性、武器みたいなものを、バランスをとるためにマイナスにしないでいいグループであってほしいということ。サッカーではよく、『自分を殺すチームワークは要らない』って言いますが、それを目指していますね。

作りたいのは、“音楽と仲が良い”グループです。人が作ったメロディーやトラックであっても、誰かのセンス任せではなく、感覚値としてちゃんと把握できるまで自分なりに落とし込めること。ダンスならその振りがどこから生まれているのか、キックの何を拾っているのか、グルーヴってそもそも何なのか、座学じゃなくて肌とか耳で感じられること。思考が停止されてない、意志のあるボーイズグループでいてほしい。そうでないと、いつか音楽を嫌になっちゃうと思うので。

耳目を集める存在というのはどうしても過剰なストレスと切っても切れないので、そうなったときにどう踏みとどまれるかって言ったら、音楽への愛情しかないんですよね。それをメンバーみんなが持っていたら同志をリスペクトし合えるし、自分自身のこともリスペクトできる。今の日本で“音楽と仲が良い”ボーイズグループは、なかなか見ることができないけど、音楽と仲が良いボーイズグループは世の中から求められているし、絶対に必要なんです。そこですべては始まります」

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(ライター 日高郁子)

[日経エンタテインメント! 2021年5月号の記事を再構成]

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