「ということもありまして、趣味は腕時計なんですよ(笑い)。時計の話をし始めたら3時間以上語れる自信がありますよ。初対面の時に相手のどこを見るかについて、まず襟元と言いましたが、次が靴、3番目が時計です。経験からいいますと、靴の手入れがきちんとできている方は考えがしっかりされている。そして、時計が趣味の方は時間を守る」
腕時計、機械式にこだわり
――時計好きになったきっかけは何でしたか。
「大学で機械工学を学び、人工心臓の研究をしていました。フィリップスのいまの仕事に通じていて面白いのですけど。機械いじりが好きなのは昔からで、腕時計のメカの世界にやられてしまったんです。Gショック以外はすべて自動巻きで、カジュアルなものも含めて40本くらい持っています」
「機械式で秒針のある時計にこだわっているんです。何が好きかというと、1秒1秒を刻むから。ビジネスは時間がとても大事です。ルーズになってはいけません。デジタル時計は正確で、ぱっと見で時刻が分かるように思えますが、実際は頭に入ってこないんですね。1秒1秒を刻む時の大切さの感覚を失わないためにも、機械式時計を大切に思っています」
「昔、とても珍しい装飾の懐中時計を持っていたんです。どうしても欲しい、というアメリカ人がいたのであげてしまい、手元に残っていません。その懐中時計はデザインも針もおしゃれで見やすくて、昔の時計だから秒針がかちっかちっと動いて。なめらかに動く今の秒針よりも時を刻む感じがあっていいですよね」
――きょうはパテック フィリップですね。どこがお気に入りですか。
「仕事でよく着けるのがこのパテック フィリップとルイ・ヴィトンのクロノグラフです。パテックは手に入れてからずいぶんたちます。デザインや部品数、機能がすごいです。私は部品の点数が多い時計に魅了されますから。そしてルイ・ヴィトンはとにかく正確で精度が高いんです。狂いません」