「高価なブランドものよりも好みを分かってくれるオーダーがいい。特に伊勢丹メンズと麻布テーラーでよく仕立てています。オーダーではもう一つ凝っている点があって、それは裏地なんです。水色とか、どぎつくない赤とか、ちょっとだけ見える、自分だけの楽しみです」

部下の服装にも視線 ひと言で「変身」した部長も

――服装で影響を受けた人はいますか。

「まずは父。公務員でスーツ族で、きちっとネクタイを締めたスタイルが私のイメージする父親像です。他には、ビジネスで出会ったさまざまな人に影響を受けました。カジュアルをとてもスマートに着こなす人や、スーツでもうまく着こなせない方、いろいろ見てきました。そういう経験から、相手が受ける印象というのが、すごく大事であると思うようになったんです」

この日のスーツの裏地は美しい金茶。「男性がおしゃれできるのは裏地と時計くらいだと思っています。裏地では遊びますね」

「私はこれまで何度も転職するなかで数多くの方々に会い、それがアピール力をつけることにつながりました。30代前半にNECで当時の金子尚志社長の秘書を務めた時期は、土日もきちんとした格好で過ごし、多くのすてきな人にお会いすることができ、身だしなみやドレスコードが身につきました」

――一流の人との出会いが装いにも投影されるんですね。今度はご自身の着こなしが部下にも影響を与えているのでは。

「フィリップスは社風がフランクで、私もフランクに注意しますよ。たとえばベルトの色と靴の色が違ったり、紺のスーツに明るい茶色の靴を履いていたりしていたら指摘しますね。『靴が歩いている感じがして、あなたに焦点がいかない。もったいない』と。彼らにとって不幸であると思えば、こうして指摘した方がいいでしょう」

「展示会の現場で、ある部長に靴の合わせ方が違うよ、と注意しました。彼は少しショックを受けたようでしたが、次の展示会では足元から上まで全体のスタイルがビシッと決まり、すごくカッコよくなっていてびっくりしました。こんなこともあるんですよ」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

(下)「腕時計は機械式、刻む1秒大切に」フィリップス堤氏 >>


SUITS OF THE YEAR 2021

アフターコロナを見据え、チャレンジ精神に富んだ7人を表彰。情熱と創意工夫、明るく前向きに物事に取り組む姿勢が、スーツスタイルを一層引き立てる。

>> 詳細はこちら

SUITS OF THE YEAR 2021
Watch Special 2021
SPIRE
SUITS OF THE YEAR 2021
Watch Special 2021
Instagram