30代が知らない「45歳超の転職実態」

先日、転職相談で会った47歳の男性は、早期希望退職制度に応募して会社を辞めた人でした。国立大学を卒業後、大手広告代理店に就職。当初は営業として顧客への渉外担当を経験した後、本部で人事、総務、経営企画など長く管理部門で活躍してきた人でした。

「できれば、近い業界の管理部門で、いいポジションがあれば紹介してほしい」というのが依頼の内容でした。

「希望年収は前職同様の1200万円以上。下がるとしても1000万円以上は確保したい」というのが希望条件。しかし、履歴書と職務経歴書を見ると、退職からすでに6カ月以上が経過。理由を聞くと、「退職後は少しゆっくりしようと、転職活動もスローペースで、求人サイトに登録した程度。3月頃からエージェントにも登録して本格的に活動をスタートした」という答えでした。

「退職金や貯金で年金まで暮らせるほどの余裕はない」ということなので、本来は悠長にしていられる状況ではありません。すぐにでも働きたいというには、あまりにもペースが遅すぎる状況でした。

さっそく30社ほどに応募をしたということですが、面接に進めそうな企業はゼロ。選考結果の返信さえ、半数以上からは届かないという状況です。

早期退職制度のリスクは、割増退職金が一気に入金されることで余裕を感じてしまうことにあります。一般的には早期希望退職時の退職金割増分の金額は「年収の2倍」というのが相場で、大卒45歳(総合職)の場合、約1000万円が通常の退職金に加算されることになります。この余裕がセカンドキャリア探しのスタートを遅らせ、場合によっては、この状況が1年、1年半、2年と長引く原因になることもあります。無収入の転職活動が長引くと、精神的なストレスも高まっていくリスクがあります。

そして実際には多くの人が1年以内に何らかの仕事に就職することが多いのですが、その中には一時避難的にアルバイトや派遣社員、顧問などで働くケースが多く含まれているのが実態です。もともと希望する人が多い正社員での転職の場合は、時間の経過とともに対象とする業種や職種、希望年収などの条件が変化し、当初思い描いていたセカンドキャリアとは全く違う仕事に就くケースも多くあります。

つまり、年齢が上がっていくにしたがって、「転職先が決まること(アルバイト・パート含む)」と「満足度が高い希望の仕事に就くこと」とが全く一致しないケースが増えていく現実があるということです。30代の皆さんにも、ぜひこのあたりの現実を頭に入れておいてもらいたいと思います。

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35歳までに試算しておきたいリタイアまでの資金計画
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