豚バラ肉入りの「豚玉」は丸い形だと豚肉が入っていない部分が生じるため楕円形に焼く=PIXTA

「関西ではお好み焼きを食べるときにテコでそのまま食べるのがスタンダードです。 箸で食べている方に突っ込みを入れたくなります」。

テコとは お好み焼きをひっくり返すときに使う金属製の「起こし金」のこと。これまた地域差があるようで、関西の人は「コテ」とか「テコ」、関東の人は「ヘラ」と呼ぶようである。

関東では切ったお好み焼きを皿にとり、箸でちょうどいいサイズに切って食べる人が多い。関西では、お好み焼きを皿に取らずに鉄板から直接テコで口に運ぶというから、最初から格子切りにして一口サイズになっているほうが都合がいいのだろう。

また、先に私は「丸いものを均等に分けるならピザ切りが合理的」と書いたが、そもそも関西の人はお好み焼きを「シェアして食べる」という習慣がないという。そのため切り分けたときにすべてのピースが均等である必要がない。ただ自分が食べやすいように切ればいいだけなので、これも「格子切り」が好まれる理由の1つだろう。

まとめてみると、以下のような理由から関西では格子切りになったと思われる。

(1)お好み焼きを楕円形に焼くこともあり、その場合にはピザ切りは適さない

(2)庶民的なお好み焼きにはピザやケーキのようなオシャレな切り方は似合わない

(3)テコで食べるときに小さな格子型のピースに切れていると便利

(4)お好み焼きをシェアするという概念がないので、そもそも均等に分けようという気がない

お好み焼きの切り方の違いは、実は「食べ方」の違い、すなわち、箸かコテか、シェアか1人か――といえるかもしれない。

この「ピザ切りvs格子切り」の論争はお店でも繰り広げられているようだ。

「お客様の会話の中にこの話が出てくることはあります。話題になり、盛り上がってもらえば何よりと思いながら、どう切るか迷っていらっしゃる場合は、スタッフが『ぼて流切り』で格子状に切り分けをお手伝いいたします」と神山さん。

ぼてぢゅうでは箸袋にお好み焼きの切り方のレクチャーを印刷するほど、切り方にコダワリがあるという

「ぼて流切り」とは、前述のようにぼてぢゅうでかつて職人がお好み焼きをカットして客に提供していた時代に編み出した、調理用のテコを使いながら素早くキレイに切る方法。これは今でもスタッフに引き継がれている。また、何パターンかある箸袋の一つにこの「ぼて流切り」が紹介されている。

あなたはお好み焼き、どう切りますか?

(ライター 柏木珠希)

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