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お好み焼きはどう切り分ける? コナモン巡る深い話

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NIKKEI STYLE

来る5月7日は「コナモンの日」だそうである。お好み焼きやたこ焼きなど、「小麦粉」を主原材料とする料理、いわゆる「粉もの」(関西圏では「コナモン」と呼ぶ)の魅力をPRするための日だとか。お好み焼きといえば、「どう切るか論争」がネット上でときおり勃発している。ピザやケーキのように切り分けることに対して、激しい違和感を抱く人たちがいるようだ。いわく、お好み焼きは格子状に切るものらしい。今回はお好み焼きの「切り方」に焦点を当ててみよう。

お好み焼きとは、水に溶いた小麦粉の生地に卵、キャベツや肉、魚介類などの食材を使い、鉄板の上で焼き上げたものである。ソースやマヨネーズなどの調味料や、青のりやかつおぶしなどのトッピングとともにいただく。

肉は豚を使うことが多く、カキやイカなどの魚介類を使うこともある。作り方は、生地に具を混ぜてから焼く「関西風」と生地を鉄板に薄く伸ばし、その上にキャベツなどの具を重ねてひっくり返す「広島風」の、大きく分けて2種類ある。つまり、「お好み」焼きというだけあり、作り方も具も調味料もトッピングも作る人・食べる人の好み、自由というわけだ。

お好み焼きといえば、こんなできごとがあった。友人らとお好み焼きを食べたときのこと。私がお好み焼きを切り分けると、友人があきれたように「ピザじゃないし!」という。私は「は? これ、お好み焼きですよね。ピザじゃないのはわかってますけど」と思って、ぽかーんとしてしまった。友人が指摘したのはお好み焼きの切り方だった。

私はケーキやピザを切るようにまずはお好み焼きを十字に切り、4分の1の大きさ、つまり90度の角度にした。それを食べやすいようにさらに半分にして8分の1の大きさ、真ん中が45度の角度になるように放射状に切った。が、それは関西出身の友人にとってはものすごく違和感があるらしかった。お好み焼きは格子状に切るのが常識というのだ。

東日本で生まれ育った私はこれまで当たり前のように「ピザ切り」してきたので、それを聞いてびっくり。格子状だと、内側は均等に四角くカットされるが、外側の部分はきちんと四角い形にならない。そのぶん食べる量も少なくなるから、なんだか不平等な気がするではないか。丸いものを均等に切るにはピザ切りが一番合理的なのになぁと思った。

そんな理不尽な思いを抱きつつネットで検索してみると、私と同じ経験をしている人がけっこういることが分かった。掲示板で「お好み焼きを『ピザ切り』したら笑われた。そんなに変ですか?」と質問する人がいたり、芸能人が飲食店を訪れる番組でお好み焼きを食べるときに「ピザ切り」にしたところ「すごい違和感!」「お店の人、切り方教えてあげて!」と関西出身の視聴者から総ツッコミが入ったり……。はたまた「お好み焼きはピザ切り? 格子切り?」で論争になっているサイトもあった。

やはり関西ではお好み焼きを格子状に切るものなのか。1946年に大阪市西成区玉出で創業し、現在は国内外でお好み焼き店「ぼてぢゅう」を約100店展開するBOTEJYU Group ホールディングス(大阪市)専務の神山和則さんに伺うと、「はい、関西におきましては格子状に切ることが良しとされています」との答え。

ぼてぢゅうは、職人がカウンターの鉄板でお好み焼きを調理し客に提供するスタイルを確立させたブランド。ちなみに焼きそばが入った「モダン焼き」や、マヨネーズをかけて食べるスタイルもこちらが発祥である。現在はカウンター席よりテーブル席が増え、客自身がお好み焼きをカットするようになったが、以前は客が食べやすいように職人が調理したお好み焼きをカットしていた。その形が格子状であったという。

「ぼてぢゅうは創業当時より、お好み焼きの定番メニュー・豚玉を楕円形に焼いており、75年たった現在も継続しております。理由は、脂ののった豚バラ肉のうま味を閉じ込めるため、長くカットした肉を使用しており、円形では豚肉がはみ出てしまうからです。どこを切っても豚肉があるように楕円形にこだわっています。楕円形であるからこそピザ切りは成立せず、格子状に切るようになったと認識しております」

なるほど、楕円型のものをピザのようにカットしてしまうと、直径が短いほうと長いほうとでは、ピースの大きさが著しく違ってしまう。そうなると、確かに格子切りのほうが妥当である。

ぼてぢゅうのこの切り方が広まったのか、もともと格子状に切る習慣があったのか定かではない。ただ、お好み焼きの形が丸であっても「格子切り」にするのだから、「楕円だから」以外の理由もあるに違いない。

その理由について神山さんは「戦後間もなく物資も限られていた時代において、関西の食文化を支えてきたのがお好み焼きです。日本で生まれた純粋な和食で、一般大衆食として関西食文化とともに成長してきた歴史があります。 ピザやケーキという、洋食の要素の強い、少しおしゃれでぜいたくな食べ物というイメージと違い、大衆から愛される日常食としてのお好み焼きのイメージから格子状に切ることが関西では定着しているかと思います」と考察する。

でも、理由はそれだけではないようだ。それはこんな質問によって明らかになった。神山さんに「『ピザ切り』以外にも関西の人にとって我慢できない、お好み焼きの食べ方やマナーはありますか?」と伺ったところ、こんな答えが……。

「関西ではお好み焼きを食べるときにテコでそのまま食べるのがスタンダードです。 箸で食べている方に突っ込みを入れたくなります」。

テコとは お好み焼きをひっくり返すときに使う金属製の「起こし金」のこと。これまた地域差があるようで、関西の人は「コテ」とか「テコ」、関東の人は「ヘラ」と呼ぶようである。

関東では切ったお好み焼きを皿にとり、箸でちょうどいいサイズに切って食べる人が多い。関西では、お好み焼きを皿に取らずに鉄板から直接テコで口に運ぶというから、最初から格子切りにして一口サイズになっているほうが都合がいいのだろう。

また、先に私は「丸いものを均等に分けるならピザ切りが合理的」と書いたが、そもそも関西の人はお好み焼きを「シェアして食べる」という習慣がないという。そのため切り分けたときにすべてのピースが均等である必要がない。ただ自分が食べやすいように切ればいいだけなので、これも「格子切り」が好まれる理由の1つだろう。

まとめてみると、以下のような理由から関西では格子切りになったと思われる。

(1)お好み焼きを楕円形に焼くこともあり、その場合にはピザ切りは適さない

(2)庶民的なお好み焼きにはピザやケーキのようなオシャレな切り方は似合わない

(3)テコで食べるときに小さな格子型のピースに切れていると便利

(4)お好み焼きをシェアするという概念がないので、そもそも均等に分けようという気がない

お好み焼きの切り方の違いは、実は「食べ方」の違い、すなわち、箸かコテか、シェアか1人か――といえるかもしれない。

この「ピザ切りvs格子切り」の論争はお店でも繰り広げられているようだ。

「お客様の会話の中にこの話が出てくることはあります。話題になり、盛り上がってもらえば何よりと思いながら、どう切るか迷っていらっしゃる場合は、スタッフが『ぼて流切り』で格子状に切り分けをお手伝いいたします」と神山さん。

「ぼて流切り」とは、前述のようにぼてぢゅうでかつて職人がお好み焼きをカットして客に提供していた時代に編み出した、調理用のテコを使いながら素早くキレイに切る方法。これは今でもスタッフに引き継がれている。また、何パターンかある箸袋の一つにこの「ぼて流切り」が紹介されている。

あなたはお好み焼き、どう切りますか?

(ライター 柏木珠希)

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