有名シェフ、専門学校が協力 世界の魚料理レシピ集
新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむ日本の漁師たちを応援しようと、国産水産物販売促進協議会(東京)のメンバー、特定非営利活動(NPO)法人「海のくに・日本」(東京、白石ユリ子理事長)が今春、「日本のうまい魚レシピ集」を作成した。日本近海でとれる47種の魚介類を用いた和洋中計約300のレシピを掲載。希望者には無料でプレゼントする(応募多数の場合は抽選)。
昨年来のコロナ禍で大都市圏の飲食店などが時短営業や休業を余儀なくされたことで、業務用の魚介類の出荷が落ち込み、苦しむ漁業者は少なくない。
海と魚の大切さを伝える活動に取り組む海のくに・日本は、出荷できずに余った魚介類を何とか有効活用できないかを検討。これまでの長年の活動を通じ築いたネットワークを駆使し、レストランのシェフや料理専門学校などに協力を求め、魚のレシピ集を作ることを決め、昨年秋から準備を進めてきた。
魚レシピ作りに協力したのはリストランテ アクアパッツァ(東京・南青山)の日高良実オーナーシェフら一般社団法人日本イタリア料理協会(東京・渋谷)のメンバーや服部栄養専門学校(東京・渋谷)など国内各地の料理専門学校の講師陣や東京家政大学の学生、テレビの料理番組などでおなじみの料理研究家、田口成子さんら。
イタリア料理あり、トルコの宮廷料理あり、韓国風や中華、和食、魚を使ったお菓子までバリエーション豊富で、一般的な家庭料理はもちろん子ども向けや、高齢者向け、アスリート向けなど用途別レシピも用意されている。作り方も丁寧で、わかりやすい。
マダイとたっぷりのオリーブ油を用いたイタリア料理の「アクアパッツァ」や「ホタテ貝のレモンクリームパスタ」を始め、イカを牛乳につけ込み、やわらかく焼き上げたトルコ宮廷料理「シロイカの具だくさん魚介詰め」、和食では丼として食べてからお茶漬けにして味の変化を楽しむ「アジを味わうだし茶漬け」といった具合だ。
魚が苦手な子ども向けには「サケのふんわりナゲット」、ハードなトレーニングをした後のアスリート向けにはビタミンB1を補給してもらうため「ウナギとクリームチーズの海苔(ノリ)巻き&ウナギいなり」など様々なレシピが紹介されている。
アジやマグロ、サバ、ホタテなど日常おなじみの魚介はもちろん、中にはトラフグや伊勢エビ、ウナギやクジラなどお値段が高めのものや、容易に入手しづらいものを使ったレシピが含まれているのも、コロナ禍で業務用として出荷できず、売れ残ってしまった事情ゆえ。
レシピ集には黒潮や親潮など4つの暖流・寒流に囲まれている日本の豊かな漁場の様子や、レシピの食材として登場する魚介類の一部が「おさかな図鑑」として紹介され、勉強になる。
レシピ集制作を担当した海のくに・日本の佐藤安紀子さんは「このレシピ集をみて、普段なじみが薄い魚介類にもいつかチャレンジしてみてくれればうれしい」と期待する。
日本のうまい魚レシピ集はA4判で164ページ。日本語版のほかに英語、フランス語、中国語、韓国語版も用意した。
日本語以外も対応したのは、アジアや欧米諸国の人たちにも日本のうまい魚のおいしさを知ってもらいたいから、という。
レシピ集希望の方は、日本語版など欲しい版と氏名、住所、電話番号、メールアドレス、希望する理由、プレゼント案内を知ったきっかけを記入し、メールで海のくに・日本まで申し込む。締め切りは5月10日。アドレスは gyo@wff.gr.jp
(堀威彦)
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