30分ごとにタイマーをセットして立ち上がる
以上のことから、身体的なシステムから見れば、「体を動かさずにじっとしていたほうが疲れやすい」ということが分かっていただけたでしょうか。
良いイスは快適なので、つい長い時間座り続けてしまいます。しかし、座りっぱなしは、疲れを助長させてしまうのです。
それでは、どうすれば今よりも疲れにくくなるでしょうか。

まずは、長時間座り続けるのを避けることです。仕事に没頭していると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。ですから、30分から1時間ごとに、タイマーが鳴るようセットしておきましょう。
タイマーが鳴るたびに必ず立ち上がり、ついでにトイレに行ったり、飲み物を取りに行ったりすれば、少し歩くことになり、気分転換にもなります。軽くストレッチしたり、その場で足踏みしたりしてもいいでしょう。
スマートウォッチのなかには、一定時間が経つと「立ってください」と促してくる機能が搭載されたものもあるので、これを活用するのもいいですよね。
少しお金をかけられるのであれば、昇降式で高さの変えられるデスクを購入するなどして、立ったまま仕事をする時間を作るのもいいでしょう。最近は、昇降式デスクといっても、キャスター付きの可動タイプや、手ごろな価格のものなどいろいろな種類があるので、テレワークの仕事環境にも取り入れやすいと思います。
疲労の原因はストレスかも…
結局のところ、私たちが普段感じている「疲れ」のほとんどは、肉体的な疲れと精神的な疲れの「複合型」だと考えられます。
相談者の方のように、1日中座っていれば肉体的な疲労は少ないかもしれません。しかし、本人は気がつかないうちに、精神的な疲労が大きくなっているのかもしれません。
ぜひ、座りっぱなしの生活を改めるとともに、自分を見つめ直す時間を作って、精神的な疲労の原因になっているストレスがないか、探ってみてください。
仕事のプレッシャーや、人間関係のトラブル、あるいは家庭内の悩みなど、ストレスの原因が分かれば、それに対してどう対処すればよいのかが見えてくるでしょう。
ストレスの対処法については、ストレスの原因から「距離を置く」、ストレスを「回避する」、そしてストレスの「耐性を高める」という3つの方法があります(過去の連載記事「ストレス解消にお酒 『やめられない』を抜け出すには」を参照)。ストレスの種類によって、適切な方法をとりましょう。
私自身、コロナ禍以降、働き方が変わり、トレーニングを指導する「セッションの日」と、執筆など「デスクワークの日」を分けるようになりました。セッションの日は体を動かしているので、疲労感はそれほどなく、ぐっすり眠れます。
ところが、デスクワークの日は、ただ座って、原稿をチェックしたり、講演の準備をするだけなのですが、疲労感が強く、夜もなかなか寝つけなくなったりします。
こうした経験から、1日中デスクワークをされている方は、本当に大変なのだなと、つくづく感じました。
今は私も、デスクワークの日は、こまめに立ち上がったり、立ったまま仕事をすることを実践しています。みなさんも是非、試してみてください。
イスに座りっぱなしで疲労を感じている人へ…
▼座りっぱなしで体を動かさないほうが実は疲れやすい
▼体を動かして血流が増加すると疲労回復につながる
▼30分ごとにタイマーをセットして立ち上がる習慣をつけよう
▼ストレスが疲労の原因である可能性も
(まとめ 長島恭子=フリーライター/図版制作 増田真一)
[日経Gooday2021年4月20日付記事を再構成]
