powered by 大人のレストランガイド

スイーツ缶、ここまで進化 チーズケーキやドイツ菓子黒川博士の百聞は一缶にしかず(2)

東日本大震災以降、本格的なスイーツの缶詰が増えてきた
東日本大震災以降、本格的なスイーツの缶詰が増えてきた

みなさん、缶(かん)にちは! 缶詰博士の黒川勇人です。今回は本格的なスイーツの缶詰を紹介しますぞ。

今やコンビニでも本格スイーツが買える時代ですけど、缶詰にもしっとりチーズケーキやふわっふわのスポンジケーキが登場してきた。どれも製法に工夫があっておいしく、缶から出てきたとは思えない出来栄えなのだ。

その先駆けとなったのは、トーヨーフーズ(東京・千代田)が2014年に発売した「どこでもスイーツ缶」シリーズ。17年には「カップケーキ」シリーズも発売した。

左の3品「どこでもスイーツ缶ミニ」(各65グラム、324円)、右の3品「どこでもスイーツ缶カップケーキ」(メープル風味、チョコ風味は50グラム、フルーツMIXは55グラム、各270円)

なぜスイーツを缶詰にする必要があるのか? それには東日本大震災が関係している。

開発のきっかけはこうだ。トーヨーフーズの社員が東日本大震災の被災者から話を聞く機会があったのだが、様々な話が出た中で、最も印象に残ったのは「長引く避難生活の中で、一度でいいからスイーツが食べたかった」という言葉だったそうだ。

食料の支援はあっても嗜好品は含まれない。しかし精神的にも辛い生活が続く中で、もし甘くておいしい物が食べられたら、どれだけ心が落ち着くことだろう。そこで同社の開発部は、本格スイーツ缶の開発を決意した。缶詰なら長期保存できるから、災害用の備蓄食になるはずだ。

「どこでもスイーツ缶カップケーキ」の製造風景。生のケーキ生地を缶に入れる

「どこでもスイーツ缶カップケーキ」は、缶の中に耐熱性の紙カップを入れ、生のケーキ生地を一つひとつ注入して造られる。すべて重量をそろえなくてはならないので、手間の掛かる作業だ。そのあと缶内の空気を抜き、真空に近い状態でフタをして密封。大きな釜に入れて缶ごと高温加熱する。その熱で生地に含まれるベーキングパウダーなどが膨らみ、ケーキが焼き上がるというわけ。

空気の抜き方がポイントの一つで、通常の缶詰よりも強く空気を抜く「高真空缶詰」という特殊技術を応用している。僕の知る限り、この製法で焼き上げたスイーツ缶はほかに見たことがない。

メールマガジン登録
大人のレストランガイド