――生産者に会いに被災地にも行きました。

「どの地域でも役職や社会的立場といった違いを超えたリーダーがいたことに驚きました。若い漁師や市役所の課長、家族を津波で亡くした方もいました。皆さん、悲しみを乗り越え、エネルギーを持って周囲を巻き込んで進んでいます」

「日本で一番熱のある現場でしたね。行く前にはどのような励ましの言葉をかければよいか考えていましたが、必要なのは具体的な支援と行動でした。非常時には自分の領域や立場にかかわらず、いち早く動ける人が動けばいいのだと強く感じました」

――困難を乗り越え、17~18年に同業の大地を守る会、らでぃっしゅぼーやと相次ぎ経営統合しました。文化の違いなどはありましたか。

「統合は想定以上にうまくいきました。それまで互いにライバル心はありましたが、小売業として同じような思いを持って頑張っていたメンバーなので、会話量を増やすことを心がけました」

「まず、統合に関わる社員を意識的に増やしました。全体の20~25%くらいだと思います。コミュニケーションを取らざるを得ない状況となり、統合後の誤解や無知が少なくなりました」

創業時のメンバー。オフィスは今より狭く、「満員電車のようだった」という(左から3人目が高島氏)

「一方、統合すると毎日退屈しないほど事件があります。私もずっとその解決や社員との交流に時間を充てました。このため、外の世界の変化にアンテナを張れない時間があったことに気づきました。新型コロナが猛威を振るう20年までに統合作業を終えたことは結果としてプラスだったと感じます」

やんちゃ精神と真面目の両立

――新型コロナ下では定期購入する会員数を増やし、さらに大きな企業になりました。

「大企業病という言葉がありますが、当社はどちらかと言えばベンチャー気分が抜けていないかもしれません。社内では最近、『やんちゃ』と呼ぶチャレンジ精神と、『真面目』な社会的意義をどう両立するか議論しています」

「まず会社が大きくなっても、ヒエラルキーをつくらないようにしています。そのためのアイデアの一つとして情報を会社の隅々まで共有しています。私がユーチューバーのように社内向けに動画配信することもあります」

「社員が希望すれば、役員を含む経営会議にも3~4カ月間、参加できるようにしました。入社2カ月の新人もいます。インサイダー情報のみ機密ですが、それ以外は何の制約もありません。参加した社員が自分の意見も踏まえ、部署内や同僚などと議論してくれることを狙っています。トップの情報があれば、挑戦しやすくフラットな職場に近づきます」

次のページ
うまくいかないとき、頑張り方を見直す
ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら