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オイシックス・ラ・大地社長 高島宏平氏

オイシックス・ラ・大地社長 高島宏平氏

生鮮宅配のオイシックス・ラ・大地は新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要によって好調が続く。2021年3月期の連結売上高は975億円、純利益は40億円と、ともに過去最高を見込む。ただ、創業期は生産者との関係づくりに苦労したほか、資金繰り難や東日本大震災にも見舞われた。高島宏平社長は「困難な時ほどリーダーは明るく、仕事は楽しく」と語る。社長の振る舞いは社員に波及するため、「ピンチを楽しむことで結束が強くなった」という。

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「売れない」「買えない」「金ない」の三重苦

――リーダーとして重要な素質は何ですか。

「会社が危機に直面しても明るく振る舞うことですね。オイシックスが創業したのは2000年。ちょうどIT(情報技術)バブルが崩壊に向かう時期です」

「生産者から野菜を直接仕入れてインターネットで売るというビジネスモデルは創業直後に『売れない』『買えない』『金ない』という三重苦に陥りました」

「創業から3年間は真っ暗なトンネルを進んでいるような気分でした。ただ、私が立ち止まれば会社は潰れ、社員は路頭に迷ってしまう。このため、形から入ることを意識しました。来月には資金がなくなりそうでも『うまくいっている』と答えていました」

「リーダーが不安がっている様子を見せなければ、社員は自信を持って事業に打ち込んでくれます。会社全体で不安がるのは課題解決が遅れるだけです。逆境こそ楽しむ姿勢は創業期の苦労から生まれ、今も染みついています」

――社員にピンチをチャンスと思わせる仕掛けはありますか。

「大きな問題が起きると、そのときに流行していた歌をテーマソングにするようにしています。これは2000年代半ば、配送を一任していた物流会社が廃業を決め、当社も倒産の危機に瀕(ひん)したときに生まれた文化です。少しでも前向きになろうとテーマソングを設定。オフィスのテーブルにもお菓子を広げ、トラブルを楽しく解決しようと努めました。次の取引先が見つかるまで社員総出で袋詰めや配達を担いました。今でも思い出したくないほど過酷な1カ月でしたが、結束は確実に強くなったと感じます」

――トラブルがあったときこそ、リーダーの手腕が問われます。

「有事にこそトップはリーダーとしての本質が問われると思います。11年の東日本大震災のとき、私は会社にいましたが、本棚が倒れてファイルが散乱するなか、パニック状態に陥る社員もいました。建物は安全だったので、防ぐべきは人災です。まず動揺せずに笑顔でいること、次にすぐ状況を整理し、社員に指示を出すことを意識しました」

「料理が得意な社員が食材在庫を調理し、皿を囲んで食べました。おそらく誰もが不安だったと思います。でも、あの時は笑いながら皆でおいしい食事を食べる大切さを改めて学びました。この経験は今のビジネスでも生きており、おいしさのみでなく、いかに消費者の生活を充実させられるかを重視しています」

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