仕事着の選択肢が増えるにつれ、ビジネスシーンにおけるスーツの着用頻度は減りつつある。とはいえ、職種や立場によっては、スーツを着なければならない場面は少なからずある。だからこそ、奇をてらうことなく、ミドルの威厳や品格を演出することができ、タイムレスに使える王道の無地スーツをきちんと着こなしたい。そこで、今の時代に寄り添いながら、ベーシックな無地スーツの洒脱(しゃだつ)な装い方を今一度、見直してみようと思う。スーツ本来のポテンシャルをしっかり引き出せるような着こなし方を身につける。今こそ改めて、無地スーツを極めよう。
スーツの本来の貫禄が際立つのは
「ジャカードタイ」の深みだと知る
無地のテーラードスーツ本来の貫禄を引き立たせるにはVゾーンの顔と言えるネクタイ選びこそ重要だ。ジャカードタイのしっかりした生地感は、そんな装いを後押しする。
Style Point 明るめのカラーのタイもシックに締められる
明るめのブルーのカラーリングであっても、深みのある色の見え方となるジャカードタイならば、落ち着いた印象で締めることができる。無地スーツの抑制されたシックなたたずまいを損なわず、程よい華やぎを着こなしの中に取り入れることができるのだ。
織りによる色柄表現が深みのある表情に
■HOLLIDAY & BROWN(ホリデー & ブラウン)=以下、左から右へ
レトロな趣の幾何学柄が洒脱な印象を後押し
ペトロールブルーのカラーリングやクラシックな趣がある幾何学柄が、スーツスタイルを洒脱な印象に仕上げてくれる。しっかりとしたシルクの生地感も、風格を感じさせてくれる。剣幅8cm。1万6000円(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)
■ALTEA(アルテア)
プリント調のジャカード織りでより洒脱さが増す
一見プリント調のペイズリー柄だが、実はジャカードで織られているこちらのネクタイ。ピンドットの生地感により、何気なく締めたときにも、程よいニュアンスを生み出してくれる。剣幅8cm。1万2000円(ビームス ハウス 丸の内店)
■ATTO VANNUCCI(アット・ヴァンヌッチ)
ダークグレーの貫禄にセッテピエゲの軽快さが共存
ダークグレーのカラーリングで貫禄のある顔つきのネクタイだが、セッテピエゲの作りにより適度な軽快さをもって締めることができる。柔らかい生地感がタイの光沢感と合わさって、よりエレガントな表情を備える。剣幅8.5cm。3万4000円(レガーレ)
■FRANCO BASSI(フランコ バッシ)
艶気を感じさせる大柄パープルタイ
シックな無地スーツの装いに、大人の色気を取り入れるのに最適なパープルカラーのネクタイ。大きな曲線を描くサークル柄が、パープルカラーと相まって、コーデに程よく個性を与えてくれる。剣幅8cm。1万6000円(アイネックス)
■NICKY(ニッキー)
ブラックベースでモダンな装いにも◎
大柄の幾何学模様は、無地スーツの装いにインパクトを与えてくれるのに一役買う。生地のベースカラーがブラックなので、モノトーンコーデにより、モダンな印象で着こなすことも可能だ。剣幅8.5cm。1万8100円(シップス 銀座店)
しっかりしたタイの生地感がスーツの装いに重みをプラス
ドレッシーで貫禄あるたたずまいで着られる無地のテーラードスーツ。その本来の風格を、Vゾーンで引き立てようとするならば、タイの王道であるジャカードタイこそベストな選択だ。ジャカード機により織られたタイは、生地がしっかりと詰まっており、締めたときに胸元に確かな重みと落ち着きをもたらしてくれる。また、インクジェットによるプリントタイとは異なり、生地の織りによる、深みのある色柄の表現がされているのも魅力だ。その生地の表情により生まれる、適度な重みと深みが、無地のテーラードスーツ自体が持つ貫禄をさらに後押ししてくれるのだ。