書くことで世界変える ライターの仕事問い直す教科書青山ブックセンター本店

ライター古賀史健氏、編集者柿内芳文氏のコンビでつくった本を並べた特設コーナーで展示する(青山ブックセンター本店)
ライター古賀史健氏、編集者柿内芳文氏のコンビでつくった本を並べた特設コーナーで展示する(青山ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は2~3カ月に一度訪れている準定点観測書店の青山ブックセンター本店だ。人の流れこそ戻っていないが、ビジネス書については話題の本が次々と出て、関連した著者イベントの開催などの施策が功を奏して、上向いてきているという。そんな中、書店員が注目したのは、大ベストセラーのライターが「自分がライターの学校をつくるとしたらこんな教科書がほしい」と考えて磨き上げた仕事の教科書だった。

『嫌われる勇気』『ゼロ』のライター

その本は古賀史健『取材・執筆・推敲』(ダイヤモンド社)。副題に「書く人の教科書」とある。古賀氏といえば、アドラー心理学の第一人者、岸見一郎氏と組んだ『嫌われる勇気』、ホリエモンこと堀江貴文氏と組んだ『ゼロ』などの大ベストセラーを世に送り出したライターだ。

その著者が「ライターとはなにか」を問うところから書き出し、470ページを超える圧倒的な分量でライターの仕事の全工程を論じていく。「『書くこと』で自分と世界を変えようとするすべての人たちに届くことを願っている」。冒頭の1ページにそう書きつけるこの本は、ベストセラーライターの仕事術と読むこともできるし、この仕事をめざす人の道標にもなる力強い本だ。

「『コンテンツ』というしか名づけようのないなにかを、ライターはつくっている」と著者はいう。そして自分の内なる言葉から「コンテンツ」をつくる作家や詩人と対比して、ライターは「からっぽの存在」だと言い切る。「だからこそ、ライターは取材する」。ライターとは本質的に「取材者」であり、取材してからっぽの自分を満たしてくれたすべての人や物事に宛てて書く返事がライターの原稿だと定義づける。

「わたしは、こう理解しました」「わたしには、こう聞こえました」「わたしはこの部分に、こころを動かされました」「わたしだったらこんなことばで、こういうふうに書きます」「なぜならあなたの思いを、ひとりでも多くの人に届けたいから」。それがライターの原稿だという。

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