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震災に寄り添う写真家がアドバイス 癒やしのススメ

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NIKKEI STYLE

東日本大震災から10年が過ぎた今、世界は新型コロナウイルス禍が続く。何気ない日常が突然変わってしまう。そんな不安を誰もが抱える日々だ。だからこそ、何が必要なのか。震災直後から映画上映を仮設住宅などで展開した経験を持つ写真家で、世界に日本の魅力を発信するサイト「japan-search.jp」CEOのAMIY MORI(エイミー モリ)さんは「自分ができることで、つらい思いをしている人の心に寄り添って」とアドバイスする。

2021年3月中旬、MORIさんは男乕(おのとら)美歩さんと10年前を振り返っていた。MORIさんは気仙沼湾(宮城県気仙沼市)を光で彩るイベントをプロデュースした。電飾の取り付けなどを手伝ったのが、気仙沼女子高校の3年生だった男乕さん。現在は石巻赤十字病院(宮城県石巻市)で看護師として働いている。

「吹雪の中を一軒ずつまわって、電球を配ったり取り付けたりして、大変だったよね」「本当に、寒かったです。懐かしい良い思い出です」。2人は異口同音に語った。「気仙沼のクリスマスのイルミネーションは来年で10年。今も続いているのをまたみんなで見れるといいね」

イベントが始まるきっかけは、気仙沼市の地元青年の依頼だった。「気仙沼の冬は何もない。何か考えてほしい」。震災翌年の10月、こんな話が舞い込んだ。世界各地で写真を撮り、20年以上クリスマスシーズンの写真撮影をしてきたMORIさんは、気仙沼湾を見たとき「北欧の風景に似ている」とピンときた。西洋のクリスマスシーズンをほうふつさせる夜のイルミネーションをここに。引き受けるにあたり「10年間は続ける」ことを条件にした。「男乕さんらが将来、子どもと一緒にイベントに訪れた際に『私が始めたのよ』と自慢できると、すてきでしょ」

光が生きる勇気を与えた

MORIさんが関わったのは12年12月に開いた初回だけだが、願った通り地元の有志がイベントを続けている。初めて真っ暗だった気仙沼湾の海に光がともると、被災した住民が「光があるだけで生きる勇気が出る」と涙を流した。とにかく最初は必死だったと振り返る。「予算も時間もないが、被災し傷ついた人々の心に自分ができることで寄り添おう」。発光ダイオード(LED)電球は、専用ウェブを通じて全国に「あなたの街の光を下さい」と募集した。さらに、東京の企業に資金協賛を募り、宮城県が本社の大手企業が200万円分のLEDライトを提供してくれた。地元青年団はイルミネーションで有名な東京・表参道の商店街振興組合に貸し出しを依頼した。

映画上映で心をケア

被災者の心に寄り添ったのは、気仙沼湾のイベントが最初ではない。震災直後に、知り合いの映画関係者らに声をかけて「東北応援映画上映ボランティア」を立ち上げ、キャラバン隊として避難所や仮設住宅での映画上映会を各地で展開した。岩手県大船渡市から福島県いわき市まで、要望があればどこでも出向き、3日間で5カ所、6回の上映をこなす日もあった。

着手したのは、震災当日、テレビで津波に町が飲み込まれていく東北の姿をみたからだ。「何かやらなくてはいけない」と使命感に似た感覚を抱いたという。実はMORIさん、映画監督としての顔も持ち、女優の戸田恵梨香主演の初作品「恋極星」は上海国際映画祭で新人監督賞にノミネートされている。取り組んでいたプロデュース事業が震災で頓挫する中で、「自分にできることをやろう」と、映画による心のケアを思いついた。「被災地で起きていることはノンフィクション。映画というフィクションの世界にしばし浸ることで、心が癒やされるのではないか」。そう考えたそうだ。

ハリウッドのチャリティー精神

あらゆる映画会社に電話し、映画の貸し出しを打診するも著作権が壁となり難航。そんな時に、米ハリウッドの大手映画会社から「配給映画のどれでも特別に無料で提供します」とのメールが届いた。上映に選んだのは、米俳優のウィル・スミスの息子、ジェイデン・スミスとジャッキー・チェンの共演で話題になった青春映画「ベスト・キッド」(10年)。「米国から中国に引っ越してきたいじめられっ子の少年が武術を習得し、いじめっ子に立ち向かうストーリーは、自分の心で立ち上がろうという勇気につながる」と信じた。ほかにも、国内では松竹が人気シリーズ「男はつらいよ」、テレビ朝日が人気アニメ「ドラえもん」の上映を認めてくれた。

もう10年ではなく、まだ10年

「子どもからお年寄りまで楽しんでもらえるベストな3本」(MORIさん)を映し出すスクリーンは、スタッフの手作りだ。「映画館の雰囲気にこだわりたい」と巨大スクリーンを作成し、収容人数が多い大きな避難所では、前面の特注スクリーンとは別に、ソニーから無償提供された大型のテレビも複数並べた。

10年前の当時、映画を見た被災者が「悲しい気持ちを一時でも忘れることができた」と笑顔をみせ、MORIさんは「被災者は十分にがんばっている。『がんばって』という言葉はいらない。がんばらなくてはいけないのは周りの人間。『心も元気でいてください』と伝えたい」と語っていた。「その気持ちはいまでも変わりません。被災地にとっては、もう10年ではなく、まだ10年なんですから」。いまでも当時知り合いになった旅館の女将さんらと連絡を取り合い、「何か私にできることがあったら」と気にかける日々だ。

AMIY MORI(エイミー モリ)
福岡県生まれ。ロバート・デニーロやトム・クルーズらハリウッドスターのポートレートなどを撮影。ライフワークとして30年ほど世界のクリスマスの風景を撮り続けている。環境問題への取り組みにも力を入れ、2020年のクリスマスには自身が運営する「japan-search.jp」で中井徳太郎環境次官、山極寿一前京都大総長との対談を配信した。21年度から環境省の「グッドライフアワード実行委員会」委員に就任。

(編集委員 木村恭子)

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